また、雄大さんが村内を車移動しているときや、屋外で作業をしているときに、他の車に対して毎回手を挙げるなどの挨拶をしていた。後続車がなければ、対向車の方と路上で近況を話し合うこともあった。「人口が1400人程なので、活動3年目になった今では、ほとんどの人が顔見知り」「ある農家さんは山に籠ってばかりだったが、村の小学生との交流を経て山から下りてくるようになり、村の人も驚いている。いつも彼から教わってばかりだったが、最近タブレットを使い始め、使い方を教えてあげられることが嬉しい」「各ゴミ袋に出した人の名前が書いてあり、分別を間違えていると収集係のおじちゃんが、会ったときに教えてくれる」と語る雄大さん。コミュニティーが小さいからこそ、常にコミュニケーションをとり、支え合う関係が大切だということを体現していた。
2日目は、天龍村と特産品である柚子のPR道具、村の食材を手に、東京にある食材を持込める食堂「未来食堂」へ向かった。村の食材を提供し、雄大さん自身もお手伝いをすることで、村をお客さんにPRするためだ。お客さんは皆、雄大さんの話を興味深そうに聞いてくれていた。
雄大さんは村にも未来食堂のような空間を作りたいと考えている。「美味しい村の食材を使った料理を作れるおばあちゃんたちが沢山いるんです」雄大さんの活動の幅はどんどん広がっていく。
今回私が雄大さんの活動に密着していて、外務省職員の言葉を思い出した。「本気の『気』は気変わりする、決心の『心』は心変わりする、覚悟は変わることがありません」雄大さんは天龍村で生きていく覚悟を持っていた。
今年で地域起こし協力隊の任期である3年間を終える雄大さんはそのまま天龍村に移住する。神子として生涯に渡り、年始のお祭りで神様に捧げる踊りを、毎年夜通し踊るのだそうだ。
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