タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

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◆明るみに出る不正

「うーん」原が天井を仰いだ。「それが意外と気分や人間関係、パワーバランスで決まるものですよ。気分が変れば意見も変わる」
桃山が発言した。「信金の理事長だった原さんだったらこれほど反原発、再エネ推進はしなかったでしょうか?」
「泉元首相だって同じですよ」原が笑った。

「つまり正しいことはしがらみがあっては出来ないと言う事ですね」
「そうでしょうね」
「では組織は悪ですか」桐嶋が尋ねた。
「硬直した組織と言い換えてくれますか?」
「硬直した組織」と桐嶋と桃山が言った。
「実は、3年間も営農型太陽光発電が許可されていないケースがあるんですよ」と桐嶋が言った。
「それは何所ですか?」原が尋ねた。
「そんなことあるの?」と桃山が驚いた。
「埼玉の某市とだけ言っておきます」
「それは農民新聞としても見逃すことができないよ」
「我々もとても関心があります。なにか不正な力が加わっているのではないのでしょうか?」
原が言った。

「力が加わったかどうかは調査中ですが、不正は有りました」
「なに?不正がある?聞き捨てならないね」農民新聞の桃山が言った。
「どういう不正ですか?」原が乗り出した。
「市が市の公文書を改ざんしたのですよ」桐嶋が言った。
「それ犯罪じゃないのですか?」原が言った。
「立派な犯罪です」桐嶋が答えた。
「なんでまたそんな大それた事をしたのかね」桃山が桐嶋に尋ねた。
「それがなぜ農地転用に関係しているのですか?」原が聞いた。
「一回許可が出た5条申請が、密室の中で取り消されたのです」桐嶋が言った。
「許可証を闇に葬る事はできないだろう?」桃山が尋ねた。
「桃山」と桐嶋が呼びかけてから話し出した。

「農業委員会は5条、つまり営農型太陽光発電を当該の土地で実施してよいと許可を出したんだ。しかしそれを事業者に知らせずに闇に葬ったんだよ」
「闇に葬る事などできないよ」桃山が首を振った。「今は農業委員会の議事録は市のホームページに載るんだよ」
「そうだよ、そのホームページが改ざんされたんだよ」
「ホームページは公文書中の公文書ですね」原が言った。
「つまり事業者は許可されたことをしらないで2年間過ごしてしまったんだ」桐嶋が言うと、「事業者は得べかりし利益の逸失と言う事になりますね」と原が言った。
「それは市が賠償しなければならない金額だ」桃山が言った。
「だから今、どんな力が働いてそのような不正がなされたかを調査して、しかるべきメディアに公表しようとしているんだよ」

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