スキークロスのアジア人唯一のW杯プレイヤーである梅原玲奈選手にインタビューした。印象に残ったのは、「時間の捉え方と使い方」。「やりたいことがあれば、いますぐに動くべき」と迷いなく言い切る姿に、アスリートの強さを見た。

インタビューに応じてくれた梅原選手

インタビューに応じてくれた梅原選手

今回、梅原選手にインタビューを申し込んだのは、その人生における決断や選択の仕方が興味深かったからだ。「いきぺでぃあ」では、理想の生き方を実践するロールモデルに直撃取材を行ってきた。「その生き方に不安はないのか?迷いはないのか?」と質問を投げかる。

梅原選手はアジア人唯一のスキークロス選手。2018年の平昌五輪に向かって人生を賭けているアスリートだ。

いまでは考えられないが、つい数年前までは梅原選手は引退を考えていたという。引退を撤回し、自分の決めた目標に向かって邁進する梅原選手に、「悔いのない生き方」について聞いた。

インタビューで時間の使い方についてたずねると、梅原選手は、「やると決めたら100パーセントやる。時間は戻せないので」と迷いなく答えた。「今日ちょっと辛いからサボりたい、10分早くやめたいと思う時もあります。でもそこでやめて、平昌の選考レースでコンマ1秒足りなかったら、あの10分かもしれないと後悔してしまうのが嫌。だからとにかく全部やっておきたいんです」。

梅原選手が常に全力で過ごすようになったのは、過去の経験も大きく影響しているだろう。実は梅原選手は、スキークロスではなく、アルペンスキーの選手として五輪を目指していた。

小学4年からスキーに出合い、中学、高校、大学とスキー漬けの毎日を過ごしてきた。大学卒業後は秋田の企業にスキー選手として就職が決まった。しかし、転機はここから訪れる。

大学卒業後は「プロ」ではなく、「一応プロ」の時代だったと振り返る。社会人になって3年目、秋田の企業との契約が切れたタイミングでアルバイトで活動費を稼ぎ、月15万円の貧乏生活していたこともある。バイトと練習で、休む時間がなくなり、オーバーワークで成績が伸び悩んだ。

「いくらやってもフィジカルが上がらない。一方、世界チャピオンは365日スキーのために過ごしている。私は週5日もバイトして片手間にトレーニングをする。そんなの無理に決まっているし、それでメダルを取りたいというのも失礼じゃないですか」

アルペンでの成績が出ず、日本のトップ5にいても厳しい競技だったこともあり、引退も考えていたと明かす。しかし、そんな時に、スキークロスの先輩から、「アルペンの練習にもなるからと」練習に誘われた。

練習に参加し、「アルペンで負けたことはなかった先輩に、スキークロスでは全然歯が立たなくて。スキーヤーという大きな枠でみたら、自分は全然レベルが高くないと思った」と言う。「もっと上手くなりたい、こんなに大きい世界の中のこんな小さいところにいたんだ」と気付き、スキークロスに挑戦することを決意した。

スキークロスに転向し、わずか1年で世界選手権の代表になった。現在アジア人唯一のW杯プレイヤーだ。スポンサーも就き、仕事をせずに1年中スキーに専念できるようになった。

2020年の活躍が期待される

2020年の活躍が期待される

アジア人唯一のスキークロス選手とあって、他国のチームに混ざっての練習も多い。

「コースがスキー場に1つしかないので、みんなが集まってきて、合流練習になる。スタートゲートで掛け声をかけて、後ろにあるバーを開く人が必要なので、1人ではスタートの練習もできない。誰かがコースにいたらだいたい知り合いなので『今日一緒に練習していい?』と聞いて一緒に練習している」

やりたいことがあっても、勇気が出ずに一歩踏み出すことを躊躇してしまう人は少なくない。どうしたら理想の生き方をできるのかという問いには、こんなメッセージをくれた。

「今あと1年あるから、2年あるからと思っていても、2年後には明日しか残っていない。やりたいことがあればさっさとやればいい」

アジア唯一のスキークロス・梅原玲奈選手を応援するプロジェクト実施中!

*この記事は、HONKI Universityが運営する「いきぺでぃあ」から一部編集して掲載しています。本文全文はこちら

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