三井俊介さんは広田町とは縁もゆかりもなかった。しかし、現在は広田町に移住し、地元住民と外部から来た若者を交流させ、地域活性を行っている。知り合いゼロからどのようにして人を巻き込んだのか。(佐々木 桜)
広田町とは、岩手県陸前高田市にある人口3500人の港町。震災前では、外部から若者が訪れるということは考えられなかった。しかし、今ではこの地を訪れた大学生は2000人を超す。
この動きを起こしているのが、三井さんが立ち上げた特定非営利活動法人SETだ。同団体はチェンジメーカープログラムを企画し、都内の大学生を1週間ほど広田町に招く。地元住民と交流し、期間内でこの地の課題を解決する企画を実施する。
このプログラムには、多くの地元住民にも参加してもらう。民泊として協力してくれる人もいれば、地元を案内してくれる人、船に乗せてくれる人もいる。
被災した地元住民と、外部から来た大学生とでは、バックグラウンドや立場が大きく異なる。意思疎通がうまくいかずに、衝突することもあるという。
関係性を保つために、三井さんは「一対一の確かなつながり」を大切にしてきた。年配の住民でも、若者と新たなことを一緒に挑戦することで、感動を与えられ、人々の行動を変えることができた。
地元の人が当たり前だと思っていたことが外部の人が介入することによって、改めて地元の良さに気付くこともできた。
一対一の確かなつながりを作り出す、この人間関係の構築は問題とされている地方の人口減少社会の解決方法の一つとも考えられる。
「人が少なくなるからこそ豊かに充実に暮らせるような社会へ」、そのためには人口増加社会で当たり前のように作られてきた社会システムを作り直す必要があると考えられる。
執筆者:佐々木 桜(大学2年)
現在大学2年生、専門は心理学を学んでいます。ボランティアは大学1年の授業をきっかけで始め、現在東京都にあるa-con(NPOコミュニケーション機構)に所属し、プロボノを課外活動として行ってします。中学、高校は吹奏楽部に所属しトロンボーンをやっていました。よろしくお願いします。