2011年3月11日、岩手県陸前高田市は「津波」によって大きく変わった。誰もが目を覆いたくなるような光景がそこには広がっていた。多くのものを失ってしまったが、そこには多くの大学生が足しげく通い続ける「広田町」という町ができた。(伊藤 聖矢)
「50年後,この町は無くなってしまうかもしれない」と言われる町で震災後から活動を続けているのが、三井俊介さんが代表を務める「特定非営利活動法人SET」だ。
同団体は、「自分らしく,社会を創る(町を担う)生き方、働き方をする人を増やす」というヴィジョンを掲げ、広田町のために行動する人を増やすために活動している。
三井さんは2017年1月10日に東京で開催されたNPO大学で、「地域活性化」をテーマに講演を行った。そのなかで、地元の住民から理解を得るためには、「一対一で接し、関わり続けることが大切」と話した。
同団体では地元住民と外部の若者が一緒に活動し、対話し、学び合う『共育』を実践している。筆者は同団体が主催の「Change Maker Study Program(チェンジメーカースタディプログラム)」に2015年の夏休みに参加した。
これは、外部から来た大学生と地元住民が1週間時間を共に過ごし、地域活性に向けたプロジェクトを実施するものだ。目の前の人のために本気で活動することが求められた。
言葉にするのは容易だが、実践することは並大抵のことではない。しかし、「広田町のために」という思いのもと本気で取り組んだプロジェクトが実践できた感動は筆者のなかでは大きい。「今まで本気を知らなかった人が誰かのために本気になれる場」をSETは広田町を舞台に提供しているのだ。
執筆者:伊藤聖矢(獨協大学外国語学部4年)
出身山形県酒田市。地域開発学や貧困や外国人差別、食と農業の社会問題、国際関係学を専攻。アフリカでのボランティアやSETでの東北インターン、青少年教育としてのキャンプや舞台活動など色々なことに挑戦。今年はインドでNGOインターン。バイトで塾講師と居酒屋のホール。いきものがかりが大好き。(可能な限り世界の)子供の貧困の解決と社会問題に取り組む人材の育成が人生の目標です。