武蔵大学社会学部メディア社会学科松本ゼミの有志は3月上旬、沖縄県中頭郡読谷村(なかがみぐんよみたんそん)にあるラジオ局「FMよみたん」でインターンを行った。読谷村は日本で一番人口が多い村として知られる。ラジオパーソナリティは全員ボランティアが行うなど地域に密着して運営しているFMよみたんの聴取率は83.7%と、多くの村人に愛されている。(武蔵大学松本ゼミ支局=下河辺 美優・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)

番組に出たときには、天気予報を読んだり、キャスターとのフリートークを体験した

■中学生もパーソナリティ

FMよみたんとは沖縄県中頭郡読谷村にあるラジオ局だ。その施設は読谷村地域振興センターという行政の建物の一部に存在している。読谷村は日本で一番人口が多い村として知られ、2017年2月の時点では約4万人とされている。

そんな人口が多い村でFMよみたんは読谷村で83.7%という高聴取率を獲得している。FMよみたんでは、生放送でラジオを行い、USTREAMで同時進行で映像も配信している。

さらにラジオだけではなく、「You刊TV」というネット番組も配信している。こちらも平日18時から30分間の生放送で配信されている。ラジオパーソナリティは全て地域の方によるボランティアで集められ、中には中学生の女の子がパーソナリティを務めている番組もある。地域密着で運営をしている点が特徴だ。

■番組企画を体験

私たちが行った活動内容は、書類やデータ整理といった事務作業や営業に加えて、ラジオや「You刊TV」でのパーソナリティも務めさせてもらった。

毎朝のミーティングや、月に一度のテクニカルミーティングにも参加した。営業では、読谷村で行われるイベントのポスターやチラシを公民館や企業などに配る手伝いをした。

ラジオに出演した際には生放送でイベントやお店の告知をしたり、パーソナリティの方とフリートークなどをしたりした。最終日には1時間の枠を頂き、私たちだけで番組を作った。    

■インターンを終えて

営業では、まず挨拶をすることが大事だと教えて頂いた。普段何気なく挨拶を済ませているが、初対面の方とやりとりをする中で挨拶はとても重要であり、挨拶の仕方でその人の印象が変わるということを教えて頂いた。

ラジオ出演については、初めとても緊張し、告知でも噛んでしまったり、早口で喋りすぎたりと反省する点がたくさんあったが、回数を重ねるごとに楽しんで喋ることができた。

平日朝7時から9時まで放送されている「べにいも村イモーニング」では、学校情報や自治会の情報も伝えている。 学校で今日どんなことが行われるのか、自治会からどんな連絡があるのかを放送することによって、あまり連絡手段を持たないお年寄りたちが孫の学校行事を把握したり、自分の自治会の連絡を知ったりすることができる。

その他の学校や自治会も刺激を受け、読谷村の学校や自治会がどんどん発達していったとスタッフの方が話して下さった。

こうして、一般の方でも情報を発信できる場があることによって、地域の方が主体となって村が発展していくのだと感じた。そして、最終日に1時間の枠を頂いて行った特別番組では、誰が進行し、何の曲をかけるのか、どういった構成でトークを進めるのか、何をリスナーに伝えたいのかなど一から考えて行った。

初めはQシートの作り方も分からなかったが、スタッフの方がいつでも優しく教えてくださり、二人だけの番組を作ることができた。そしてこの番組中、視聴者の方から応援のメールを頂けたことがとても嬉しかった。朝の忙しい時間にわざわざ私たちのためにメールを打って下さった方がいるということにとても感激した。

「You刊TV」では、昼過ぎにミーティングが行われ、本番の2時間前にリハーサル、1時間前に最終リハーサルが行われる。視聴者に見やすく分かりやすいように本番直前まで修正をしていく。

その理由の一つとして、耳が不自由な方がFMよみたんのラジオを聞けなくても、「You刊TV」で読谷村の情報を把握してほしいという思いがある。そのためスタッフ皆さんが次の放送に活かすため、毎回反省会が行われていた。

私たちも出演させて頂いた時にはいつどの原稿を読むのか、本番直前まで確認や読む練習をしていたが、うまく読めなかったり、原稿が飛んでしまったりと反省する点が多くあった。

しかし、それでも隣でキャスターの方がサポートして下さったり、ミキサー等を操作しているスタッフの方が、「笑顔で頑張れ!」などとカンペを出して下さったりと、たくさんのスタッフの方に支えて頂いたと感じた。

今回のインターンで、スタッフの皆さんがいつも口を揃えて「楽しんで!」と声をかけて下さった。緊張したり、間違えたりしたこともあったが、それでも「楽しめたなら良かったね!」と言って下さり、とても気持ちが楽になった。

お仕事中も私が想像していたようなピリピリとした雰囲気やせかせかしている人はおらず、皆さん楽しみながらメリハリを持ってお仕事をされていた。そういった中で、いつも私たちが話しかけやすい雰囲気作りをして下さった。

社長やスタッフの皆さんからは「分からないことがあれば、なんでも聞いてほしい。」「たくさんスタッフの邪魔をして、そこからたくさん学んでほしい」と言って下さった。初めての場に行くと分からないことだらけで、話しかけづらい雰囲気があるが、FMよみたんでは一切そのようなことはなく、将来こんな環境で働きたいと感じた。

そして社長にインタビューをした際には、なんでも経験させたいと話していた。もし失敗したとしても、まずはやってみる、もしかしたらその結果が次に繋がるかもしれないと話して下さった。

別のスタッフの方にインタビューをした際にもどんなに小さくても夢を持ってほしいと話して下さった。明日夢が変わってもいいし、叶わなくてもいい、それでも常に夢を持って、それを口に出してほしいという言葉にとても胸を打たれた。お二人にインタビューをして、今まで私はまだ自分が将来どんな職業に就きたいのかが明確に決まっておらず、口に出すこともしなかったが、失敗したとしてもなんでも経験をして、小さくても夢を持ち続けたいと強く感じた。

ラジオや映像の知識だけでなく、挨拶の仕方、お茶の入れ方、人との接し方、あらゆることを学ばせて下さったFMよみたんのスタッフ皆さんに感謝をしたい。

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