タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう
なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)
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◆新チーム
その他走らせるのが気の毒のような太った学生が4人いた。ボールをキックして遊んでいた学生が一人いた。小さく華奢な青年だった。
「ラグビーやっていた?」ダンが話しかけた。
「ちょっと中学生の頃やりましたけど、体が小さいから続きませんでした」
「フットボールでは小さい者だって試合に出られるんだ」
「なんでですか?」
「パントを蹴った後は誰ともコンタクトせずに
ベンチへ下がっていいんだ。怪我はしないよ」
「でも練習はきついんでしょ?」
「いや、好きな時来てボールを蹴ってくれればいい」
「アルバイトしながらでもいいですか?」
「いいよ」
「あの、もう一人ボールを蹴れるやつがいるんですが」
「だれなの?」
「人間工学科にいる奴ですが、高校ではかなりのサッカーが上手い奴だったみたいなんですが、交通事故で左手が肘から下がないんです」
「それ連れてこいよ。フットボールじゃ、舵抱けるだけでいいんだ。君はボールを持って蹴る
パンターで、そいつがプレースキッカーになれはいいんだ」
「テストしないでいいんですか?」
「いいよ、他に候補がいないんだから。それから君たち二人は練習時間が短くて自由なんだから人をリクルートしてよ。とくに背の高いやつとかデブとか集めてよ。早く上がってキッカーと大きな奴を集めてきてよ」
その『木村』と自己紹介した青年がグランドを去ると、「今日はもういいよ。全員合格だ!」ダンは言った。ダンがグランドを後にしようとする時、先ほど腕の無いキッカーを探しに行った
木村がもう一人の学生を連れてきた。ワイシャツの片方が風になびいていたが、精悍な面構えでグラントにいる誰よりもアスリートらしかった。「中島と言います」と木村が紹介した。
「中島です。俺でもフットボール出来るんですか?」
「出来るよ。しっかり頼む。それに君たち二人
はトレーナーとかマネージャーみたいなことを
してくれないか?」
「良くわからないけど。よろしくお願いします」
「二人で色々な事をしてほしいんだが、まず俺のこと知っている?」
「知っています。プロ野球の吉田さんでしょう?」
「そうだよ。だけど俺から学んでほしい事は選手としての俺ではなく、アメリカントレーニングの伝道者としての色々な事なんだ」
「色々な事って?」木村が興味深そうに尋ねた。
「まず、水分補給の大切さだ。ゲータレードを売っていたのが俺だって知っていた?」
「知りません」
「そうだったんですか」
「次にフットボールをする。いやどんなスポーツをするにもテーピングが必要だってことだ」
「テーピングって?」木村が尋ねた。
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