住友理工は8月4日、第4回住友理工学生小論文アワードを開いた。テーマは、「SDGs時代のビジネスのつくり方~未来に選ばれる会社とは」。全国から108作品が集まり、審査の結果、最優秀賞には、深い哲学を持ち「How」に魅力がある企業を考察した尾和恵美加さん(デンマーク/Kaospilot1年)が輝いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)
尾和さんの作品名は、「WHATからHOWへ- パラダイムシフトの中で」。時代は物がある事が重要であった「Whatの時代」から、どのように生きるかという「Howの時代」へ変わったとし、深い哲学を持った「How」に魅力を持った企業が未来に選ばれると強調した。
最優秀次席には、犬塚万理菜さんと伊東萌花さん(法政大学人間環境学部3年)がペアで作成した「自前主義の誤謬-SDGs時代に求められるリンケージ経営-」が選ばれた。グローバル市場における日本企業の存在感は著しく低下しているとし、その原因として、「自前主義」がある主張。多様な価値観を持つ外部組織とのリンケージ(関係性)を構築することを訴えた。
優秀賞は3人が選ばれた。樋口晃太さん(中央大学大学院商学研究科商学専攻修士課程2年)の「ステークホルダーと『Social Value』を共創するビジネスをつくる―『Private Value』をキッカケにして、生活者を巻きこもう!―」、鬼頭健介さん(東京大学農学部フィールド科学専修4年)の「『イノベイティブなSDGs経営』とは何か ~消費者と一体となって持続可能性を作り出す経営を目指して~」、藤田創さん(東京工業大学生命理工学院生命理工学系3年)の「便益が提案する、SDGsとの向き合い方」。
審査委員特別賞には、勝山由莉愛さん(長野県立大学グローバルマネジメント学部1年)の「課題を生まない会社の在り方 -すべての人が夢に挑戦できる社会を目指して-」が選ばれた。
今回の小論文アワードでは全国から108の作品が集まった。一次審査、二次審査を経て各賞が決まった。最優秀賞には副賞として100万円、最優秀次席には50万円、優秀賞には10万円、審査員特別賞には記念品が贈られた。
第4回のテーマは、SDGs(持続可能な開発目標)。国連が定めたSDGsでは、「誰一人取り残さない」を理念に、2030年までに達成すべき17の目標を挙げた。この目標を達成するために企業はどのようにして事業活動を展開していけばよいのか。SDGsの達成に貢献しながら、新しい価値を生み出す企業について募集した。
審査委員長を務めた大和総研の河口真理子・調査本部主席研究員は、「受賞した論文では、哲学と価値観とステークホルダー目線の3つがキーになっている」と評価した。「細かいことを改善するよりも、まずは哲学を考え直すこと、そして、ステークホルダーや消費者の目線、個人の価値観に起点を置くことが、SDGs時代のビジネスを考える上で重要になる」とした。