タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう
なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)
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◆オンサイドキック
「いや、君たちディフェンスはご苦労だけど、オフェンスは10プレー位しかしていないから全然疲れていない。後2タッチダウンと日本のPATキックで35点さらに日本のフィールドキックで6点、合計41点は取れる。だから敵のタッチダウンと二点狙いのPATを二回に抑えれば失点は40点ですむ」とダンは言った。「ディフェンスは疲れているからベンチにいる奴は皆使おう。とっかえひっかえどんどん使うぞ」
敵は相変わらずじわりじわりと進んでくる。そしてタッチダウン一本追加。PATもランプレーで通し2点追加。味方も押されながらもサムにロングパスが決まり、キックも決まって7点追加。スコア―は28対32。点差がまた開いた。しかし味方はサムへのパスとPATキックで35点で逆転。しかし敵はさらに8点追加で40点とした。
「さあこれから逆転だ」ダンが叫んだ。
だが時計は残り2分。ゲームは敵のキックで始まった。自陣深く蹴り込まれたボールをリターンチームの一番後ろに位置していたサムがレシーブして走りだした。一人二人三人とかわして敵陣40ヤードまで走り込んで倒された。
サムはそのままオフェンスチームに入りプレーは再開された。しかしサムへのパスは投げられない。QBが投げる前に倒されるのだ。練習不足の味方オフェンスラインは疲れ切っていた。
ラインがQBを守れない。黒岩はボールを投げる前にタックルされて倒れていた。3度目のパス失敗で残り40ヤード。
ダンはキッカーの中島を呼んだ。40ヤード蹴れるか?」
「風が追い風だからやれます」
「頼んだ」
四年生QBの村山がボールをセットする為に黒岩と変わった。センターからボールがスナップバックされて村山がボールをティーの上に置いた。中島が蹴る。ボールは高く上がって浮かんで舞い降りて、ゴールポストの真ん中を通過した。スコア―は42対38、残り1分。
ダンが中島を労おうとフィールドを見ると中島が倒れていた。ボールを蹴った直後に強烈なタックルを浴びせられたらしい。審判はだれも反則を取らない。倒れた中島は動かない。脳震盪だ。残り一分少々。中島が担架で運び出される間、ダンはパンターの木村を呼んだ。「中島がダメだ。ボールを蹴るのは君しかいない」
「でも俺はパンタ―だから地面に置いたボールは蹴れません」
「本気で蹴らないでいい。15ヤードほど転がせばいい」ダンはそう言ってキッキングチームに「木村がボールを右隅にちょこっと蹴るから、ボールが10ヤードのラインを越したところで皆でボールに跳びつけ。オンサイドキックっていうんだ」木村がボールをちょこっと蹴った。ボールは変な転がり方をしたから敵はボールを取り損ねた。そこにイミグランツのキッキングチームが殺到してこぼれ球の上に重なった
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