企業やNPOによるZ世代を対象とした社会貢献教育が増えている。Z世代とは、1996年以降に生まれた世代を指し、米国では一つ上のミレニアル世代(1981年~1995年生まれ)より社会性が高いとされている。常時インターネットに接続しながら育ってきたZ世代の柔軟性と多様性を伸ばし、社会変革の担い手に育てる。(オルタナS編集長=池田 真隆)

ソーシャルチェンジin MIYAZAKIで優勝したチーム、虐待を防止するアプリを発表した

中高生へ教育プログラムを提供している教育と探求社(東京・千代田)はこのほど、宮崎県宮崎市で社会的課題の解決方法を教えるサマースクールを開いた。参加したのはZ世代(1996年以降の生まれ)にあたる県内の高校生ら19人。4チームに分かれて事業プランをプレゼンし、児童虐待を防止するアプリを考案したチームが優勝した。

同講座の名称は、「ソーシャルチェンジin MIYAZAKI」。宮崎県児湯郡新富町で地域づくりを行なっている一般財団法人こゆ地域づくり推進機構と組んで開催した。

当日は、「困っている人を笑顔にするにはどうしたらよいのか」という課題に対して、ターゲットを設定して解決策を考えた。優勝したチームは、児童虐待を防止するアプリを発表した。

同アプリでは、公民館などと連携して、母親の悩みごとを聞けるようにした。虐待をする母親も何らかの悩みを抱えていると考え、その悩みが発生する社会構造の解決を目指した。

AIなどのテクノロジーの発達で、今後10年以内には今ある職業の半分以上がなくなるといわれている。そうしたなかで、他者と共創して生き抜く力が必須になると考え、同講座を企画した。参加者は社会的課題で悩む当事者の立場を想像し、解決策をチームで考え合う。

教育と探求社の羽生真理子氏は、「Z世代はとても柔らかな感性と深い知性を持っている」とし、「いつでも、どこにいてもネットから情報を取り出せる時代なので、何が必要なのかを把握していることと、その情報で新たに何かを生み出す力が重要になる」と話す。

■87%が社会・環境意識

米コーン・コミュニケーションの調査では、米国のZ世代の87%が社会や環境問題に関心があることが、明らかになった。Z世代の一つ上にあたるミレニアル世代(1981年~1995年生まれ)も社会性が高いとされているが、さらに高い傾向にあることが分かった。

日本でもZ世代に向けた取り組みは続々と展開されている。日本ファンドレイジング協会では、「寄付の教室」を全国の学校で開いている。NPOの紹介から始まり、個人ワークでは模擬紙幣で寄付先を選び寄付体験をする。

寄付を呼び掛けるのではなく、自らが寄付をすることによって、寄付の成果や価値について学び合う。2010年から行い、2015年時点で、全国40校110教室で開いて来た。日本エシカル推進協議会もZ世代を対象にした検定を企画しているという。

教育と探求社でも9月24日、東京渋谷の「100BANCH」で中高大学生向けのイベントを開く。ゲストには、NPO法人青春基地の石黒和己代表理事、NPO法人e-Education創業者の税所篤快氏、FoundingBaseの佐々木喬志共同代表、ハピキラFACTORYの正能茉優代表を招く。4人の若手社会起業家から社会的課題の解決方法を学ぶ、実際にプランを考える。

同社の羽生氏は、「子どもたちはすでに大きな可能性と共にある。仲間と共に大きな課題に取り組み、その可能性に自ら気づき、成長してほしい」と話した。

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