あなたは町がゆっくり消えて行く現場で暮らしたことがありますか?2011年3月11日の東日本大震災では12万戸にも及ぶ家屋が一瞬で全壊しましたが、沿岸部では津波被害からの再生に向けた公営住宅などへの入居が始まり、コミュニティー再生への支援活動も継続的に取り組まれています。(特定非営利活動法人故郷まちづくりナイン・タウン事務局長=伊藤 寿郎)

昭和42年頃、東北の農村風景

しかしながら、津波被害が無かった内陸部の集落では、地震による倒壊家屋の撤去後の空き地や手付かずの空き家が今も発生し続けています。

それは地震による被害ではなく、むしろ人口減少少子高齢多死を原因とした、縮小社会独特の現象と言えます。

多くの地域で、これらの課題に対して住民たちが動き始めていますが、元気な高齢者がその先導役となっており、まさに団塊の世代の活躍で地域はかろうじてその形を保っている状況にあります。

しかし、これから訪れる多死縮小社会の課題に対して、従来の拡大再生産方式では持続可能性は損なわれてしまうのではないかと考えています。

私たちが取り組んだ東日本大震災の復興支援活動の中にこれからの課題解決策が見えてくることを期待して、その一端を振り返りながら6回程書き綴らせていただきます。

≪少ない資源を福祉型から生産型に変えてみる挑戦≫
~東日本大震災復興支援活動から見えてくるこれからの自立型地方再生の方策~
①手づくり味噌工房の設置運営
②地場産品直売所の設置運営
③手創り市の開催
④休眠施設を利用した生産現場の設置
⑤地域資源を活かしたプログラムづくり

いわゆる生活弱者支援を行政や社協、民間団体など多くの機関が取り組む福祉事業はとても大切な分野だと考えます。私たちも復興支援活動の際に炊き出しや物資支援を毎日行いましたが、緊急支援時期から考えていたことは、独り立ちできる共同体によって自立した地域経営に向けた事業メニューが必要になるのではとの思いでした。

いま、消えゆくまちに暮らす時、合併後に市民との距離が離れた行政を補えるような狭い地域を運営できる共同体が、生産活動により地域経営することが必要と考えています。この機会に縮小社会での活性化策や充実策について考えてみたいと思います。

次回は「登米市の現状」と「手づくり味噌工房の設置運営」についてお伝えできればと思います。


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