先日、2年前まで高校生ボランティアだった学生から大学の前期レポートで「まちづくり」をテーマにした提出資料をいただいたが、当時一緒に企画したり実践経験から得たことと古里に対する愛情がストレートに書かれており、胸が熱くなった。(特定非営利活動法人故郷まちづくりナイン・タウン事務局長=伊藤 寿郎)

星座が学べる「スターカードゲーム」のデモ版で遊ぶ子どもたち

昔から田舎では世代を問わず「何も無いから」と言う言葉を聞くが、更に今は高齢化と人口減少を声高に問題視して危機感を煽る人が多く、私も時々反省することがある。
しかし、田舎には本当に何も無いのだろうか?

5年前、小学校の校長先生から仙台市内の学校では自然体験に出かけてカエルや魚に触れたりするが、ここではキタナイから触らないでと言われてしまう。なにか対策はないかと相談を受けてから、地域の自然をもっと身近にしたいと思っていた。

そこで始めたのが「ほりプロ」と「星空観察会」だ。ほりプロは小学校の周りを流れるお濠の環境改善活動で、星空観察会はその名の通り観察会だ。

事業化に向けて地元の資源を調べると自然資源の宝庫であることに気づいた。なによりの宝は天空であり夜の星空だ。

登米市は『星空の稀な地域』として愛好者には有名で、特に石森地域は海抜10メートル前後の低地で平野部が広く、遠くに霞む山々は地平線から5度程度と低く、それより上は全く驚くばかりの漆黒の空だけで、新月の夜ともなれば天の川の煌めきは色とりどりの宝石をちりばめた魅惑の流れを見せてくれる。

そんな「星どころ」登米の魅力を多くの人に知ってもらうために、星をぎっしり詰めて作成したのが「ザ・スターカードゲーム」だ。

完成品で第1回ゲーム大会を企画運営する高校生ボランティア

構想から2年半、地元の石森小学校でのモニタリングでは、生徒たちは目を輝かせて賑やかにしゃべりながら遊び、感想や意見、アイディア出しに協力してもらった。1か月ほど遊んだ頃、教頭先生から「この子たちは勉強している気がしないのに、覚えているんですよ」と夏の大三角の質問をしたときの反応を解説いただいた。

現代の子どもは携帯やタブレットなどでスクリーンタイムが格段に増えたことから、アナログゲームで対人コミュニケーションを深められる狙いも加えて、地域資源を活かした商材を創り出すことができた。

大学生のレポートの最後に書かれた『自分の経験があって地元を好きになれた。地方に住む若者が、地元を好きになれる環境を作ることも大切である』と言う言葉を胸に、一人の大人として若者が好きになれる地元を創ることに挑戦し続けようと思う。


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