国産竹からつくった竹箸を通して、竹害の解決を目指す会社がある。熊本県南関町に拠点を構えるヤマチクだ。3代目の山崎彰悟専務に放置竹林が起きる背景について聞いた。(オルタナ編集部=多田野 豪)

インタビューを受ける、ヤマチク3代目の山崎 彰悟専務

「単にエコだから使ってくださいでは、消費者は振り返ってくれない。竹箸の扱いやすさ、口当たりの良さを知ってもらい、もう一度日本の食卓に戻したい」と熱く語るのは、日本で唯一、国産の竹だけで竹箸をつくっているヤマチク(熊本県・南関町)の3代目山崎彰悟専務だ。

ヤマチクの自社ブランド「okaeri」。ブランド名には、「竹の箸を、もういちど日本の食卓へ」という意味が込められている。2月には、アジアの優れたパッケージデザインに贈られる賞「Topawards Asia」を受賞した

同社は1963年の創業以来、国産竹にこだわってきた。近年は海洋プラスチックごみ問題の深刻化で代替素材に注目が集まる。こうしたことを背景に、竹需要の伸びを感じているという。

某大手量販店向け商品の出荷量は、山崎専務が入社した7年前と比較すると約3倍にまで増えている。脱プラスチックの流れで最近始めた飲食店への試験導入も順調で、既に20店舗に導入済みだ。

だが、課題もある。それは、竹を刈り取る切子の担い手不足だ。切子がいないと放置竹林の問題は解決されない。放置された竹林では、日光が遮られてしまい里山の植生は乱れ、土砂災害にもつながる。

山から竹を切り出す切子。山の斜面には、重機が入り込めないため、手作業で行う

同社は10名の切子の竹を仕入れているが、切子が竹を一本切ったとしても700円ほどしか儲けにならない。「メーカーだけでなく切子も儲かる仕組みが必要だ」と山崎専務は訴える。

山の管理はお金にならないと思われていることから、地主がわからないことや、山が登記されていないことが多々ある。そうなると、竹林に手を出すことは極めて困難だ。

「地主が竹の刈り取りを許可しないことには始まらない。国産の竹を資源として認知することが最優先だ」と語った。

山崎彰悟 専務取締役
熊本で「竹の、箸だけ。」を作るメーカー、ヤマチクの3代目。
MUJI、中川政七商店、ピエトロなど、誰もが知る有名企業の竹のお箸を製造していることを社員に伝え、モチベーションアップに努める。生産管理にも着手し、入社3年で生産数量を約2倍に。3年前から、ヤマチクのリブランディングにも着手。2019年3月に初の自社ブランド「okaeri」をリリース。




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