――井上さんは地域で働くことをキャリアアップと考えていますが、その理由を教えてください。

井上:地域ではブルーオーシャンな分野が多いです。都会だと当たり前のことが、地域ではまだできていないことがたくさんあります。つまり、自分の力を存分に生かせる環境にあるのです。

例えば、ここに地域おこし協力隊として来た土井隆さん(29)は、長島町の水産品を販売するECサイトを立ち上げました。長島町は、特産品の「鰤王(ぶりおう)」が代表するように鰤の町です。漁協組合の売上は年で100億円を超えます。

その漁協組合による株式会社を立ち上げ、水産物だけでなく、魚に合う醤油なども販売していきます。土井さんはその会社のECサイトを担当しています。うまくいけば、売上高日本一の水産加工会社になるかもしれません。

小さな組織は意思決定が早く、なにより、目の前の住民がどう喜んでいるかが分かります。私にとってこの経験は、霞ヶ関にいるときには分からなかったものです。今後もこの経験を生かして法律や制度をつくっていきたいと思っています。

――井上さんは学生の頃から、週末には全国各地へ出かけ、その自治体の状況を見てまわったそうですね。

井上:全国を訪ね歩いて、気付いたのですが、まちづくりで面白い取り組みをしている地域は、どこも花が咲いているのです。北海道のニセコ町、長野県小布施町もきれいでした。長島町も島一周、花がきれいに咲いています。

花を咲かせる理由は、まちを美しくすることと、自分たちでまちを盛り上げていこうという気持ちの表れです。

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