ジャパンチャレンジャープロジェクト(代表理事・中川直洋)は10月6日、鎌倉・建長寺で「いざ鎌倉!JAPAN CHALLENGER AWARD 2020」を開いた。当日は、地方の課題解決を目指す7人の起業家が登壇し、グランプリには世界的コスプレイヤーのコノミアキラさんが輝いた。コノミさんは「コスプレで地方を聖地にしたい」と強調する。(オルタナS編集長=池田 真隆)
北海道小樽市出身のコノミさんはコスプレの世界大会に日本代表として出場するなど世界的コスプレイヤーだ。自作した衣装に着飾り、景色と同化した「コンテンツ」を生み出すことを得意とする。2017年にTempest High Wind,INC(東京・世田谷)を起業し、コスプレコンテンツを通した地域のPR事業も手掛けている。
地域には昔から伝わる神話や歴史的な出来事などストーリーがある。そのストーリーからオリジナルのコスプレ衣装を作り、「三次元で表したい」と言う。プレゼン大会当日は、中国の神話で、東西南北の四方を守る四神(しじん)の一つである玄武を表した幻想的なコスプレで登壇した。
コスプレコンテンツの市場規模は12兆円を誇る。特に海外での日本のアニメコンテンツは人気で、コノミさんもインドやサウジアラビアなど中東を中心に活躍の場を世界に広げる。
コノミさんはコスプレの特徴として「共創」というキーワードを強調した。「コスプレの世界は競争ではなく、全員がアイデアを出し合う共創型。どんな人とも、どんな場所でも連携できるコスプレで地域の魅力を伝えたい」。
今後は47都道府県でオリジナルのコスプレを作り、各地が競い合うのではなく、応援しながら盛り上げていく共創型のネットワークをつくることを目標に掲げる。5年後の事業計画では売上高50億円を目指す。
審査委員を務めた書道家の武田双雲さんは、19世紀後半に欧州で広がり、マネやゴッホにも影響を与えた「ジャポニズム」を例に出して好評した。「どんなに素晴らしい作品でも、世間にアートと評価されるまでアートにはならないということがある。ジャポニズムをつくった葛飾北斎にも同じことが言える。コスプレはまだ多くの人にアートとみなされていないかもしれないが、いずれ日本を代表する文化になると思う」。
コノミさんは受賞した喜びを中学生の自分を想起してこう述べた。「子どもの頃からプロスキーヤーを目指して、親に厳しく育てられてきた。漫画やアニメ、ゲームは禁止されていて、中学生の頃から作り始めたコスプレの衣装は誰にも言えず一人でこっそりと押し入れに隠していた。そんな自分でも、好きなものを好きと言えるようになり、コスプレを通して世界中を訪問し、仲間ができた。コスプレを通して得たこの価値観を伝えたい」。
大会を主催したジャパンチャレンジャープロジェクト副会長理事で審査委員長の柳澤大輔・カヤック代表取締役CEOは、「コスプレの潜在的な力をものすごく感じた。ここからが始まりなので、事業の成長をサポートしていきたい」と話した。