WWFジャパンは9月25日、地球温暖化をテーマにしたオンラインイベントを開く。台風や酷暑、豪雨などの異常気象が世界各国で相次いでおり、「気候危機」ともいわれる中で地球温暖化を食い止めるためのアクションについて話し合う。気候変動を最重要課題と位置付ける企業は増えており、地球温暖化を理解することは、若者だけでなくビジネスパーソンにとっても「必須科目」だ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

温暖化が進むとどうなる?未来の人道危機を抑えるために今、私たちにできること

東京スカイツリーが強大化する台風による洪水で水浸する。埼玉県熊谷では、猛暑により温度計がMAXに振り切れる――。にわかに信じがたいが、これらのことはそう遠くない未来に起こり得る気候変動による影響である。(参考:WWFジャパン「未来47景」)

国際社会では気候変動が最重要課題の一つだ。地球温暖化を食い止めるために脱炭素に向かう様々な取り組みが起きている。象徴的な国際イニシアチブが2015年に国連で採択された「パリ協定」だ。

世界の平均気温の上昇を「産業革命以前に比べて2度より低く保ち、1.5度に抑える努力をする」という長期的な目標を定めた国際アジェンダで、180カ国が批准した。各国は目標を立てて脱炭素化に取り組むが、「2度目標」の達成は厳しい。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2018年10月に発表した「1.5℃特別報告書」では、「現在各国が提出している2030年までの削減目標を足し合わせても、2100年までに約3度も気温が上昇する」と予測した。

地球の平均気温が3度上昇するとどうなるのか。『地球に住めなくなる日: 「気候崩壊」の避けられない真実』(NHK出版)の著者デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏は著書で、「南ヨーロッパでは旱魃が慢性化し、森林火災で焼失する面積が地中海で2倍、アメリカで6倍以上になる」と予測する。4度上昇では、さらに壊滅的なシナリオが待ち構える。

デング熱感染者が、ラテンアメリカだけで800万人になり、地球規模の食料危機が毎年起き、河川の氾濫被害がインドで20倍、バングラデシュで30倍、イギリスで60倍に増え、複数の気象災害が1カ所で同時発生し、損害は世界全体で600兆ドルに達する――と予測している。

わずか1~2度気温が高まるだけで壊滅的な被害が出てしまい、グレタ・トゥーンベリさんが各国のリーダーに強く訴えているのも、この危機感からである。

コロナ禍の今は経済回復策として温暖化対策の視点を交えて、脱炭素社会への移行につなげていく「グリーンリカバリー」が欧州では重要視されているが、どうなるのか。

WWFジャパンではこうした事態を背景に、地球温暖化について改めて学ぶオンラインイベントを企画した。地球温暖化が進むとどうなるのか、食い止めるためにできることについて話し合う。

イベント開催日は、SDGsが採択された9月25日。また、「Global Day of Climate Action」という若者たちが気候危機を呼びかけるマーチの当日でもある。

登壇者は根本かおる・国連広報センター所長、いが☆グリオくん(伊賀市観光大使)、小西雅子・WWFジャパン専門ディレクター(環境・エネルギー)、倉橋功二郎・公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンプログラム部、吉田拓・日本赤十字社ルワンダ代表部首席代表、ファシリテーターは、こくぼひろし氏が務める。

【温暖化が進むとどうなる?未来の人道危機を抑えるために今、私たちにできること】
日 時:9月25日(金) 18:30~20:00
形 式:オンライン開催(事前申し込み制)
主 催:WWFジャパン
イベントページ:https://www.wwf.or.jp/event/organize/4409.html