■末吉竹二郎・国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問に聞く

菅首相が10月26日に「2050年までにカーボン実質ゼロ」を宣言したことについて、国連環境計画・金融イニシアティブの末吉竹二郎・特別顧問は「戦後最大の社会改革になる」と指摘した。「ようやく国際競争のスタートラインに立てるようになった」と話す末吉氏に、「カーボン実質ゼロ」を目指すことの意味を聞いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

国連環境計画・金融イニシアティブ 末吉竹二郎特別顧問

菅首相は温室効果ガスについて「2050年までに80%削減する」という目標から「実質ゼロ」に変えた。これまで目指していた「低炭素社会」と「脱炭素(排出ゼロ)の社会」は次元が全く違うと認識すべきだ。

これまでは、排出量を減らすことで評価されていたが、「減らす」だけでは不十分だ。排出をしないためには、根本から考え直し、違う路線を選ばなくてはいけない。産業構造を含めて国のあり方を抜本的に見直す必要がある。

エネルギー問題は環境省と経産省だけで取り組むのではなく、セクターを超えて、政府全体で対応しなければいけない。そういった意味で、私は「戦後最大の社会改革」が始まると捉えている。

世界ではすでに120カ国以上が排出ゼロに舵を切っている。この宣言によって、日本は国際競争に遅ればせながら参加することができたと思っている。(談)