フェイスブックをきっかけに、アラブ世界で不可能といわれていた革命が始まり、あっけなく新時代が到来した。そして3月11日、東関東大震災で一番有効だったのはツイッターだった。新しいメディアで新しい人の流れが生まれ、世界はダイナミックに動き出している。
情報音痴な筆者もフェイスブックとツイッターには一応登録はしてあった。が、いまいち使い方がわからずあまり使っていなかった。一方ミクシィはもう6年ほど続けている。日記代わりと思って始めたので、それ以上のことはあまり考えてこなかった。
しかし、本書の著者である中村さんは「それではもったいない」という。もっともっと活用すれば自分の価値を高められるし、ビジネスに活用できたり、生活を豊かにできるというのだ。
本書『コミュニケーションHACKS!』は、そんな私にとっては、目からうろこの情報が満載だった。「フェイスブックとツイッターとミクシィってつなげられるの?」という、わかっている人から見たら初歩的かもしれないけど、音痴な人間にとってはまさに目からうろこのテクニックを知った。
もちろん今後の動向から使えるアプリをはじめ、最新情報をこれでもかと紹介してくれている。しかも読みやすい。音痴な私にもスルスルと理解できた! これは自分でいうのもなんだが、すごいことだ。
私は本書で紹介されていることをできるかぎり実践してみた。そうしたら、少しだけ世の中についていけるようになったような気がしてきている。しかもそのほとんどが「無料」だ。この情報を知ると知らないでは、天と地ほどの違いがある。私の生活は一変してしまった。
その先にあるのは「人間」。新しい時代のコミュニケーション能力を磨いていく
中村さんは、前作『ユーマネー』(講談社刊)で、「リアルマネー【現実的な通貨】は今後必要なくなり、“ユーマネー【自分通貨】”が重要になってくるという衝撃的な社会論を展開した。ユーマネーは、「自分が集めた知識を利用して手に入れる注目と評価のこと」だという。その「ユーマネー」を蓄積するために、実際に役立つ最新テクニックをまとめたのが本書だ。
フェイスブックもツイッターも「便利なコミュニケーションツール」にすぎない。その先にいる「誰か」と繋がるための便利なツール。普通に生活している範囲では出会えない人と繋がって、一人では得られない情報を得たり、それらを繋げて新しいものを生み出す媒体になったりもできる。こういったことの積み重ねが「ユーマネー」を蓄積していくことになるわけだ。
私は、本書を大先輩の編集者にプレゼントするつもりだ。彼はとても仕事ができる人だが、「最先端」「IT」と聞いただけでたちまち自信を失ってしまう。でも「はじめに」を読めば、きっとわかってくれるだろう。自分の前にある壁は実はとても薄くなっていて、その先にはとても広大で面白い「場」があるんだということを。そしてすでに蓄積されている彼の「ユーマネー」は、また新たな場所を得て輝きだすんだということを…。この本を読んでそんなことに気づいてもらえたらと思っている。
武藤郁子(むとういくこ)
出版社を退社後、バンコク在住を経て、現在フリーランス編集者として活動中。「人間が繋いできたもの」に関心があり、新旧ともに追いかけている。