大学生の部で大賞を受賞した波利摩星也さん(東京理科大学大学院工学研究科修士1年)


野村総合研究所(NRI)が行う「NRI学生小論文コンテスト」の入賞者による論文発表が22日、同社丸の内総合センター(東京・千代田)で行われた。同コンテストは、学生に日本の未来について考える機会を持ってもらうため、NRIが2006年から開催している。2011年は過去最高1037件の応募があり、大学生・留学生・高校生の部で計10本の論文が入賞作品に選ばれた。

同社の嶋本正社長は「震災後の日本で『想定外』『先行き不透明』という言葉が聞かれる中では、しっかりリサーチや勉強をし、先を見据える力が必要です。このような力をますます磨いてほしい」と入賞者らを激励した。

2011年度のテーマは「2025年、新しい”日本型”社会の提案」(大学生・留学生の部)、「2025年の日本を担うわたしの夢」(高校生の部)だ。

大学生の部で大賞を受賞したのは、波利摩星也さん(東京理科大学大学院工学研究科修士1年)による「日本型『もったいない社会』の提案~農業+交通インフラという持続可能都市モデル」。農業の副産物からエネルギーを抽出し、交通インフラで活用するという提案だ。日本人の持つ「もったいない」精神を生かし、農業・畜産の廃棄物からメタンガスと水素を回収し、それらを燃料電池自動車や鉄道のエネルギーとして生かす。

波利摩さんは「震災後、自然を生かして慎ましく暮らす最小限社会という日本古来の考え方が改めて見直されている。この取り組みは、自動車に依存しない交通網の整備・渋滞の解消や日本の国際競争力維持にもつながる」と熱く語った。

最後に、審査委員長の同社・椎野孝雄理事は「論文を書くという行為は、自分の能力やアイデンティティを残すためにも重要なことです。このような能力をこれからも伸ばしていってほしい」と締めくくった。2025年を担う若者たちからの提案をこれからの社会がどう生かしていくのか注目したい。(オルタナS特派員 猪鹿倉陽子)