9月10日”TOHOKU UPDATE: Recovery and Relief Efforts in Northeast Japan”がロサンゼルスで行われた。主催は、ディザスターサポートプロジェクト、エイジィアン・アメリカンジャーナリスト・アソシエーション、羅府シンポウ、愛ラブジャパン、そしてボランティアを行った学生有志たちである。

復興活動の報告をするパネリストのデリック・ヤマシタ氏


震災から1年以上たった現在の東北の状況をビデオ、写真そしてパネルディスカッション形式で行い、被災地へのサポートをどのようにアメリカから続けるかを話し合った。

進行役は、国連の同時通訳、白百合大学教授のティナ田島さん。パネリストはサンフランシスコ在住のジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督のダイアン・フカミさん、ジャーナリストで作家のヒラハラ・ナオミさん、写真家、ジャーナリストのダレル・ミホさん、ABCテレビのニュースキャスター、デイビット・オノさん、精神科医のサチコ・テキ・リースさん、サンタバーバラ大学二年生のデリック・ヤマシタさんの6名である。

ダイアン・フカミさんは、現在、東北震災のドキュメンタリー映画の最終編集を行っている。With Heart and Hope”と題されたドキュメンタリーは、なかなか時間が経っても建設のすすまぬ現状、ボランティアダイバーを使った湖での遺体捜索など、現時点での状況をドキュメンタリーのラフカットを使い、報告を行った。

サチコ・タキ・リース医師は、35年間、カリフォルニアにてトラウマを受けた人々 の“箱庭セラピー”を使い治療を行っている精神科医である 。震災直後、東北のレッドクロスの病院よりセラピストが不足していると連絡が入り、すぐにリ—ス医師は箱庭セラピーキットを持って東北に飛んだと語った。

このセラピーは言葉の通り、小さな蓋のない木の箱によって行う。箱の中に砂を入れ、周りにジオラマで使用するような小さな人形、木、車、家、花など日常で、目にするものなどを一緒に箱の横に並べる。

患者に箱の中を作成してもらい、出来上がった箱庭の状況から診断、セラピーを行うというもの。セラピーは団体でも個人でも可能。箱庭作成中、患者は話す必要がない為、沢山の患者を同時に診察することが出来る。 

特に教職についている多くの被災者が医師の診断を必要とするストレスを現在も抱えてるとの報告がなされた。

デイビット・オノさんはABCテレビ局のアナウンサーそして 熊本出身の母を持つハーフである。災害をリポートすることが多く、今回の東北震災時も東京都心から震災の状況を生中継でアメリカへ送っていたという。ロサンゼルス在住で、気仙沼へ仕事で行った為に震災に合い命からがら、自衛隊の青年に命を救われた話や、津波の様子をスマートフォンで録画した男性のインタビューを実際にアメリカで放送されたテープを使っての報告、その後現在の気仙沼の状況なども会わせてリポートされた。

デリック・ヤマシタさんは、日系三世のサンタバーバラ大学2年生。震災後寄付金を集めるためTシャツを作成し販売。約100万円を集め東北へ寄付した。その後、もっと東北の為に何かしたいと思い、ボランティアを志願。大学生を日本へボランティアとして送っている、テラサキファウンデーションから南三陸で25名の中の一人として訪れた時の様子を話した。

ヒラハラさんは、グレース東北ミッションというグループで、17歳から70歳までの幅広い年齢層のボランティアを連れて石巻へ今年の夏訪れた様子を語った。

家の中に入った泥をひたすら取り出す作業の状況や、世界各国から集まっているボランティア事などを語った。これからまだまだ続く復興に、ボランティアの要請と基金を呼びかけた。

日系三世のフォトジャーナリスト、ダレル・ミホさんは震災後、非営利活動法人アイラブジャパンを立ち上げた。今回のイベントの責任者でもある。既に震災後8回東北を訪れ、ボランティア活動、募金、現状の報告など、沢山の分野にわたって被災者の方々の為に貢献している。

宮城県長面での今年6月の遺体捜索が行われている様子、そしてあまり現地の復興が進んでいない状況など、イベント1週間前の様子などがリアルタイムにビデオや写真でリポートされた。また、現在の福島第一原発からの太平洋内での放射能汚染状況、魚介類の汚染問題も合わせて報告された。

左から、ダレル・ミホさん、ティナ・タジマさん、ダイアン フカミさん、デリック・ヤマシタさん、ナオミ・ヒラハラさん、デイビット・オノさん


今回のイベントの目的は名の通り、東北アップデートである。やはりアメリカではなかなか現状を把握することが出来ない。まだまだ沢山の人々が苦しい状況の下で暮らしていること、どの地域がもっと金銭的援助が必要かなどを理解する必要や、ボランティアが必要な地域の認識、状況を把握して適切にアメリカより援助が送れるようにとの趣旨のもと行われた。

ミホさんは、被災者の方々の優しくも、強い心に感服した。出来る限り援助を続けて行くつもりですと語ってくれた。(オルタナSロサンゼルス支局特派員=森本洋子)


下記のウエッブサイトで活動状況や募金先の情報が得られます。
特定非営利活動法人DSP災害支援プロジェクト

アイラブジャパンサイト