2003年、アメリカユタ州のワシントンテラス市で驚くべき方法で市長選挙が行われた。それは、サイコロで市長を決めるという方法である。

現職のマーク・アラン氏にロバート・ガーサイド氏が挑むという一騎打ちの選挙となった。1493人が投票した結果は、二人 とも同票の716票。そこで、予備票と不在者投票分を開票した結果、またまた二人とも724票同士で並んでしまった。


ユタ州の法律では「票数が同じ場合は、くじ引きやコイン投げで決める」のだが、今回はサイコロを使って決めることになった。 多くの報道陣や市民が見守る中、二人は「せーの」のかけ声とともに同時に投げた。そして出た目が、アラン氏は4&1の合計5、ガーサイド氏は2&2の合計4。この結果現職のアラン氏が再選を果たした。

この2人は票数が示しているように、能力、人気、信用度これらが全てほぼ互角である。そこで、サイコロを使うことによって、最も運のある方をリーダーに選ぶことにした。

政治や経済は生き物であり、机上の理論通りに行かないのが世の常である。いかに優れた策を用いても運だけはどうにもならないことがある。持って生まれた運に賭ける斬新なアメリカの方法は決して侮ることは出来ないのではないだろうか。(オルタナS特派員 池田真隆)