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ブータンはヒマラヤに位置する人口65万人の国だ。1972年に、当時の国王ジグメ・シンゲ・ワンチュク国王が幸せや豊かさの指標として、GNP(Gross National Product国民総生産)に代わってGNH(Gross National Happiness 国民総幸福量)という考え方を提唱した。これは、経済的な豊かさよりも、心の豊かさや伝統的な社会・文化、自然環境の豊かさを大切にするという考え方だ。

ブータンはアジア諸国中で経済的には最も貧しい国の一つ(GDP162位、2011年)だが、イギリスのレスター大学が2006年に発表した「世界幸福度ランキング」(178ヶ国対象)では8位になっている。一方、日本はこのランキングでは90位だ。

上記の結果から幸福度と経済的な豊かさは必ずしも比例していないということがうかがえる。経済的には貧しくてもブータンの人々の幸福度は高く、近年GNHという考え方とともに注目を集めている。

GNHはブータンの国策にも反映されている。「持続可能で公平な社会開発」「自然環境の保護」「有形、無形文化財の保護」「良い統治」という4つの主要な柱を据えている。人々の幸福度を政策の中心に据えるブータンがこれからもオルタナティブな発展を遂げていくことを期待したい。(オルタナS特派員 猪鹿倉陽子)