北欧の島国アイスランド。国土の11%が氷河、島の中心部は火山帯、このような厳しい自然条件のため海岸線沿いにしか人は住むことができない。人口密度は一平方メートルあたり3人である。

今後のアイスランドの環境に対する取り組みは注目である


しかし、厳しい環境と寄り添って暮らしてきたため、アイスランドは環境問題への関心が高い。2010年には世界経済フォーラムにおいて、環境パフォーマンス指数1位(163カ国中)を獲得した。特筆すべきなのは、気候変動問題への取り組みである。

2008年の政府発表によれば、水力7割、地熱3割と自然エネルギーのみで国のほぼ全ての供給電力を賄っている。そのうえ、第一次エネルギー全体でも8割近くが自然エネルギーであり、残りの約2割は自動車や船舶等の燃料だ。現在は化石燃料に頼らざるをえないが、水素による代替を実現するべく開発が進められている。

1998年にアイスランド政府は「2050年までに脱・石油、国内でのCO2排出ゼロ」とする宣言をした。氷河が年々後退していく「気候変動の現場」アイスランドの取り組みは、同じく地熱資源に恵まれた日本にとって良い見本になるのではないだろうか。(オルタナS特派員 塩野健介)