47都道府県別幸福度ランキングが2011年11月に発表された。発表によると、第1位は「福井県」、第2位は「富山県」、第3位は「石川県」と、トップ3は北陸3県という結果だった。東京は38位、大阪は47位と、都市部は軒並み下位におさまった。このランキングは、法政大学大学院の坂本光司教授率いる研究チームが、生活・労働・安全・医療が主な判断基準とし、総合点を算出、ランキング化した。この結果から、街の開発度や交通の利便性、雇用の高さなどが幸せにつながる訳ではない、ということが分かる。

幸せが詰まっている富山県


「富山コンシェルジュ」として六本木農園で富山県の良さを伝えている、富山県出身の弥生一葉さん。「東京晩さん会 富山編」の開催、PRして富山の食材を採用してもらうなどの実績を持つ。地元が大好きな弥生さんに富山の魅力を聞いた。

「富山では「家を持ってやっと一人前」という考え方があるので、若者もみんなコツコツお金を貯めています。持ち家だとご近所との付き合い、地域のコミュニティへ参加できるので、幸せ度アップの要因かもしれません」

富山県の持ち家率は全国2位。弥生さんの身近な話は総務省統計局の結果でも見て取れる。

「富山は核家族が少ないです。共働きする夫婦がほとんどなので、同居するパターンが多い。おじいちゃん、おばあちゃんがお家にいてくれると安心して子どもを産めますし、老人の一人暮らしも少なくなり寂しくありません。子ども、女性、老人、みんなに優しい県と言えるでしょう」

保育園の待機児童もおらず、介護施設も充実している富山県。共働きだと収入も増えて、生活の安定も図れる。共働きを推奨している職場も多いそうだ。県ぐるみで「家族」というコミュニティを大事に育む環境をつくっている様子から、幸福度が高いのも頷ける。

「「住」の他、「食」も充実しています。立山連峰からの雪解け水に恵まれて、美味しい米、酒、魚介類が豊富です。回転寿司に行ってもかなり美味しい魚が食べられます!」

富山県は優れた水環境が豊富にある。環境省が選定する名水百選に(昭和の名水百選と平成の名水百選を合わせ)富山県は8箇所選ばれている。熊本県と並び全国最多数だ。富山県内で選定された名水は66箇所。「水の王国 富山」と言われる所以である。

「都会的な面白さにはかける富山ですが、住むならゆったりしていて食べもんが美味しいのがいいですね」

地元を離れても富山の良さを東京で発信し続ける弥生さん。原動力は富山への愛郷心からだ。家族単位・地域単位で人と人とのコミュニケーションができる環境や、口に入れたら思わず笑顔がほころんでしまう食材が身近にあることが、富山県への愛郷心を育て、幸せを感じさせるポイントなのかもしれない。(オルタナS特派員=栗原里奈)