「元気、感謝の気持ちを伝えたい」。東日本大震災で被災した人々の思いを届けるために、関西と東北で「元気だ状プロジェクト」の動きが広まっている。元気だ状とは、元気や感謝を伝えやすいようにデザインされたはがきで、それを被災地の方々に無料で使ってもらおうというプロジェクトだ。

日本中を元気だ状で繋げたいと笑顔で語る鍜治屋さん


はがきは、私製はがき、官製はがき、年賀はがきの3種類がある。東北の被災地では私製はがきは無料で配布し、官製、年賀はがきの場合でも40円で購入できる。被災地以外では、私製はがきが80円、官製、年賀はがきは100円で販売され、収益は元気だ状購入費、送料などに使われる。

元気だ状プロジェクトは、関西と東北の大学生が中心となって運営している。関西支部では学生や社会人の集まる交流会で元気だ状の販売を行ったり、一口5000円の応援金の支援者を募ったりしている。東北では被災地で仮設住宅や中小企業を訪れ、元気だ状の告知と配布・販売を行っている。

この関西支部の代表として活動しているのが大阪大学経済学部3年生の鍜治屋圭佑さんだ。5月に被災地へ行き高齢者の方と話をしたり、中学校でキャッチボールをしたりするなど心のケアをする活動を行った。だが、一時的な支援しかできなかったことに悔しさを感じ、関西からでも何か支援できないかと探していた。

被災地の人々は、年賀状は流されてしまったので、もう一度年賀状をもらいたい、支援してくれた人達に感謝や元気でやっている状況を伝えたい、と思っていることを知った。

鍜治屋さんは震災が起こった当時、印刷事業を展開する「にっこう社」(大阪市)で長期のインターンシップをしていた。にっこう社でも関西の企業として何か支援出来ないかと考えていたときに元気だ状プロジェクトの話が立ち上がり、鍜治屋さんがプロジェクトリーダーとして活動。

にっこう社には企業の紹介や学生チームの活動支援をしてもらうなどのサポートをお願いした。鍜治屋さんは「被災地の方々はすでに頑張っている。その頑張りを支えるように僕たちが動くことで、日本全体が元気になってほしい」とこれからの活動について意気込んでいる。

元気だ状プロジェクトでは、2012年3月11日までに10万枚の元気だ状を日本中に配ることが目標だ。現在は東北で被災された方々が中心となっているが、今後は被災地の方々だけでなく、日本全国で身近な人に「ありがとう」を伝えるきっかけになってほしいと考えている。(オルタナS関西特派員=山中真梨奈)