2011年12月NGOゆいまーるハミングバースが運営するモンゴルのマンホールチルドレンを支援する孤児院「太陽の子どもたち」の職員3名にモンゴルで最高位の勲章をモンゴル国大統領自ら手渡されることになった。
同団体は2007年に設立され、モンゴルに住むマンホールチルドレンの支援活動を行ってきた。孤児院「太陽の子どもたち」を運営してこれまでに40名のマンホールチルドレンを保護してきた。また、孤児院卒業生の大学奨学金も運営しており、2011年度は17名の学生に奨学金を授与した。
マンホールチルドレンとは、家が無くマンホールで生活する子どもたちのことを指す。モンゴルは1924年から70年間、社会主義国として成立していた。その間にCOMECON(社会主義国の経済協力機構)に加入してソ連から支援を受け、その額はGDP比の30%にも登っていた。
しかし、1991年のソ連崩壊、COMECON解体によりモンゴルは民主化することとなる。ソ連からの支援も途絶え、モンゴル国内の経済は崩壊してその当時の失業率は60%と言われている。
このことが背景となり、マンホールチルドレンが多発した。経済的負担の為親に捨てられたり、アルコール中毒による虐待などで家から逃げ出したのである。
なぜ、マンホールで暮らすのかというと、真冬には気温がマイナス30度にもなるモンゴルでは決して外で過ごすことは出来ないからである。
マンホールの中は温水供給パイプが通っていて地上よりは温かい。しかし、汚水が溜まっていたり、虫が涌いていたり非常に不衛生である。寝ているときにネズミに噛まれ病気に感染することもあるという。
マンホールチルドレンの子どもたちは普段少人数グループで暮らす。幼い彼らにとって一人で生きていくことは厳しいからである。大半が物乞いをして何とかその日の食料を購入する。だいたい一日に100円を稼ぎそれを4人で分けて過ごす。
しかし、生まれて幼い頃からマンホールで暮らしている子どもの場合、6歳になってもハイハイしか出来ない子どもや、15歳になってもまったく言葉を話せない子どももいる。学校には通っていないので、彼らは成人しても一人で自立することが困難である。
しかし、かつて数千人いたとされるマンホールチルドレンは今では数百人にまで減少されたと言われている。政府や民間NGOが協力した功績である。現在モンゴルには孤児院が50ヵ所存在して、ウランバードルの子ども住所確定センターでは常にマンホールや路上を見回っている。
だが、いまだに課題は残る。施設を卒業した子どもたちは職に着けずにまたマンホールへ逆戻りすることが多発している。マンホールで暮らさざるを得ない子どもたちの現状を放ってはおけない。(オルタナS特派員 池田真隆)
NPOゆいまーるハミングバース