東京の離島・神津島(こうづしま)では漁業協同組合が漁業の魅力や魚の美味しさを発信している。ホームページ「島結び」(http://jf-kouzushima.jp/)では、島で捕れる魚の図鑑や漁師の暮らしや仕事を紹介している。また、飲食店への魚の直販やツイッターでの消費者との交流など、新たな挑戦を始めた。公募によって選ばれ、神津島に派遣された特派員の体験レポートをシリーズでお届けする。(編集担当:殿塚建吾 猪鹿倉陽子)
「島結び」サイト紹介記事はこちら:http://alternas.jp/uncategorized/2011/12/12403.html
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ノマドワーカー/食を通じてあらゆる人々を繋いで動かしていく、石川進之介さんから次世代へのメッセージ。オフィスもレストランも持たずとも移動中にあらゆるヒト、モノ、コトを活用し仕事を進めていくスタイル。キャリーバックと鞄1つでできる仕事とは。そんな彼が13年振りに訪れた神津島の今とは!?
■神津島で食べた魚のおいしさとおじいちゃんに教わった魚の知識
食を通じて人と人を繋げ、都市と田舎を繋げていく活動を続ける僕が、旅の舞台として選んだのは東京都の島の1つ「神津島」でした。高校時代にサーフィンで訪れたこの神津島がとても懐かしくも、遊びではなく特派員としてお邪魔できたことはとても有り難いことでした。
当時コンビニでバイトをしていた頃に同じ職場で出逢った神津島出身のスタッフの石野田君に誘われ、神津島へ。とにかく海が綺麗な場所でサーフィンがしたかったので、当初興味があったのは“海”や“島”というテーマだけ。食は現地でおいしく食べられれば良いというくらいの感覚でした。しかし、サーフィンを終えて石野田君の実家で頂いた神津島の“魚”のおいしさを今も鮮明に覚えています。
きっとそんな思い出からも神津島の“食”&“魚”を追求したくなったのだと思います。
僕にとって“魚”との関わりは、釣りを教えてくれた母方のおじいちゃんの存在がとっても大きく、魚の見分け方など口うるさく教えてもらっていました。おじいちゃんの授業は、魚を“知っている”という経験が根っこにあったので、教科書や図鑑で見るよりもリアリティーがありました。そして何よりも身近にあったのが、魚を“おいしく食べるコト”。日本の海や川にはこんなにも豊富な魚がいるのかと感動したのもこの頃でした。
■フライパンと包丁を持ち、現場で「食」と「ヒト」をつなぐ
「この感動を色んな人に伝えていきたい。各地のおいしいものを世に伝えていくには、机上の空論ではなく自分自身がフライパンと包丁を持ち直して実演していく他ない」。そう感じたから今、food-tripという「食」と「ヒト」をつなぐ仕事をしています。どんな人がどんな場所でどんなふうに作っているかを実際に知ることはとても大切ですし、世の中監視する対象が人になっている風潮がありますが、監視しなくてはいけないのは「流通過程」だと思っています。作り手を知ってどのようにものが運ばれて、どんな人に食べてもらっているかを自分自身で確かめたかったので、ワークスタイルは自然とこうなりました。「情熱」とパソコンさえあればどこでも仕事はできますし、お店を持たないことで自分自身の身動きを自由に素早くすることができます。
震災後に露呈した大手企業の判断力の遅さ。世界の動きが刻々と早くなっている中で、舵をとりやすく、自身の強みである“パスタ”さえ作れればどこでも仕事はできます。
“旅=自分自身を知るきっかけ”でもあり、移動する中で多くのアイデアが生まれます。「どこかに勤めて安心」という時代はもう終わりました。自ら動き、創造していくワークスタイルが求められている。そう感じています。(寄稿 「島結び」神津島特派員 石川進之介)
[プロフィール]
石川 進之介 (いしかわ しんのすけ)
1981年生まれ。東京出身。10代の頃から食に興味をもちレストランやカフェで料理の腕を磨く。その後、アパレルブランド勤務、モデル、カフェマネジメントなどを経て出張パスタシェフとして独立。キャリーバッグにフライパンと包丁を入れ、「食」をテーマに日本各地の良いものや本質を探す旅を続け、お客様のご自宅やオフィスでの出張パスタサービス&教室も全国各地で展開している。
food-trip(フード・トリップ) http://www.food-trip.net/ シェフの出張パスタ日記 http://pasta-trip.jugem.jp/