東日本大震災の被災地の復興を願い、漫画界でも被災者への取材を素に支援や防災などについて描く動きが続々と始まっている。

復興支援を目的に有志漫画家らがノーギャラで作成している「僕らの漫画」

小学館では、9月から『週刊ビッグコミックスピリッツ』で『美味しんぼ』(雁屋哲・原作/花咲アキラ・画)の「被災地編・めげない人々」シリーズが始まった。『ビックコミックスペリオール』でも11月から『匠三代』(倉科遼・原作/佐藤智一・作画)で地震に強い家が描かれ始めた。

集英社では、作者自身も被災した体験漫画『わたしたちの震災物語 〜ハート再生ワーカーズ〜』(井上きみどり・作)が11月に刊行。『ジャンプ改』でも日本のエネルギー問題に取り組む『H・E The HUNT for ENERGY』(Boichi・作)の新連載が始まった。

一方、漫画家が無償で短編を書き下ろし、収益を震災遺児・孤児の育英基金に寄付する動きもある。それが、有志の漫画家27人で構成される制作委員会が始めた「僕らの漫画」だ。

とり・みきさん、ヤマシタトモコさんら計8名が参加した第一弾のアンソロジーは、iPhone、iPad、iPod touch用アプリを600円でダウンロードすれば読める(同内容の電子書籍版も eBookJapanのサイトを通じて315円で購入できる)。

12月末には、喜国雅彦さんやさそうあきらさんなど計10名が参加する第2弾のアンソロジーも発表予定。2012年5月頃にはヤマザキマリさんや村上たかしさんなど計10名による第3弾も予定され、同人誌による販売も計画中という。

「僕らの漫画」の発起人であるHさんは言う。

「吹き出しの文字を取り込む製版の経費と手数料(アプリだと30%がアップル社に)を除いた額面を寄付します。本業を脅かさないよう、がんばらないで余力でやるつもり」

11月末までにアプリだけで2913点がダウンロードされ、売上は122万3460円。第3弾までの総ページ数は380Pに及ぶ(目次・奥付等は除く)。超レアな短編集だけに、紙で出版すればさらに多額の寄付ができる。志ある出版社の動きが期待される。(今一生)

僕らの漫画