東京の離島・神津島(こうづしま)では漁業協同組合が漁業の魅力や魚の美味しさを発信している。ホームページ「島結び」(http://jf-kouzushima.jp/)では、島で捕れる魚の図鑑や漁師の暮らしや仕事を紹介している。また、飲食店への魚の直販やツイッターでの消費者との交流など、新たな挑戦を始めた。公募によって選ばれ、神津島に派遣された特派員の体験レポートをシリーズでお届けする。(編集担当:殿塚建吾 猪鹿倉陽子)

「島結び」サイト紹介記事はこちら:http://alternas.jp/uncategorized/2011/12/12403.html

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今年12月12日から10日間に渡り、『島結び特派員』によるレポートを毎日公開させていただきました。特派員それぞれの視点から見た神津島の魅力が、少しでも伝わっていたら幸いです。今回は、特派員が何を体験しどんな風に漁師と交流したか、ツアー全体の様子をフォトレポートでお届けします。


■島内観光編

阿波命神社の鳥居の下に、なぜか小石の山が。
航海の安全を祈り、長浜海岸で拾った石を積む習わしがあるんだそうです。


島の東側にある多幸湾。手前が漁港。椰子の木なんて植林してないけど風光明媚!


昭和60年頃までは主流だった『つきん棒』。若衆に投げるマネをしてもらいました。


水揚げの様子。キンメダイはまっかっか。この日は時化だったのでかなり少なめです。

■伊勢海老漁編
時化が続いた滞在中。本当はキンメダイ一本釣り漁を体験する筈でしたが、沖に出られなかったため、漁師さん達が急遽伊勢海老漁を見せてくれました。


前夜にしかけた網を引き揚げるのは素潜りで。刺し網漁という漁法です。


引き揚げるとこんな感じ。網に絡まってるんですね。


傷めないように手早く網から1尾ずつ外していきます。これがなかなか大変。うっかり脚が取れたり身を傷つけたりすると売り物にならないので、慎重に慎重に。


やっと網から外せた伊勢海老。赤くないの?カニと一緒で茹でると赤くなるのです。


網から伊勢海老が外せたら、今度はこんがらがってる網をキレイにほぐします。これまた大変。


さらっさらの前浜海岸の砂を一緒に梱包。開封されるまで島の環境で。


こんな感じで伊勢海老クンたちは出荷されるのです。


■美味編

たっぷり満喫した神津島の美味。水がうまけりゃ料理もうまいというもの。鮮度抜群のお刺身はもちろんのこと、塩焼きやお味噌汁、お酒と次々出てくる品々に舌鼓の連続。


お昼に食べた漬け丼。旨かった!@よっちゃーれセンター


獲れたて伊勢海老の味噌汁!朝から贅沢!



帰りにドッサリ買い込んだお土産。ムロやトビ、イサキのフライに赤イカなどの一夜干しといった加工品の数々。


■取材編

レポート執筆のため、特派員それぞれ興味のある人に取材。「島の人は排他的?」-来る前に心配していたことは杞憂に終わりました。


Iターン漁師の田中さん・小椋さん。島の暮らしに慣れて、すっかり神津島っ子?


小椋さんが作っている魚の剥製。本物そっくり!


島のおかあさんたちが、未利用魚を加工品にしているところ。「あとで味見してね!」


山の中腹でパッションフルーツを栽培するおばあちゃん、いい笑顔!


漁具を広げて見せてくれました。細やかな手入れも漁師さんが自分でしているなんて、意外!


威勢が良くて元気な神津島の漁師さん。打ち解けてみると、気さくで優しい人ばかり。

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「実は最初、言葉遣いが荒っぽい漁師さんたちのことがちょっとだけ怖かった。でも、話してみたらとっても優しくて親切。すっかりファンになってしまって、島外にも神津島の魚が食べられるお店があると聞くと嬉しくなる。友達や家族を連れて行ってみようと思います」。ツアー終了後、特派員のひとりがふと漏らした感想を伝えると、神津島の漁師は「嬉しいな。がんばらないとな」と喜びを声に滲ませていました。

HPでの情報発信、飲食店への直販、ソーシャルメディアを使った消費者との交流。漁師と消費者との距離を縮める神津島漁協の取り組みは、まだ始まったばかり。既存のやり方を変え新しいことを始める時に特有の不安を抱えながら、手探りで進めています。そんな時に島外の人間が神津島を訪れ、自覚していなかった島の魅力や価値をレポートとして形にしてくれたことは、神津島の漁師にとって大きな励みとなりました。「またこんな風に、島外の人たちと交流したい」。漁師たちは前のめりの姿勢を見せています。

漁協HPの『島結び』という名前は、「島と人の縁を結び、新たな展開が“生す(むす)”ように」という願いを込めて名づけられたもの。今回のツアーは、まさにその想いを実現する第一歩となったようです。

もし、一連のレポートを読んで少しでも神津島に興味を持ってもらえたなら、島を訪れて漁師と直接話をしてみてはいかがでしょうか。「なかなかすぐには島まで行けないよ」という方は、漁協と直取引をしているお店(http://jf-kouzushima.jp/itadaku/)で神津島の魚を味わって、ハッシュタグ#kozufishをつけてつぶやいてみてください。あなたと神津島との間にも、何かが「生す」かもしれません。

(寄稿 「島結び」体験ツアー運営事務局)