医師とジャーナリストにより設立された国際NGO「国境なき医師団」は、今年、日本事務局創設から25周年を迎えました。国際協力に関心がなかった人でも、その名をどこかで聞いたことがあるはず。今回、改めてその活動や仕組みについて詳しい話を伺いました。(JAMMIN=高橋 佳吾)
■緊急医療援助に特化した国際NGO
「私たちの活動地域は、紛争や自然災害などによって医療へのアクセスが無い地域。医療を受けられないために、体調が悪くても診療が受けられず、日本では治るはずの病気でも亡くなってしまう方が大勢います」――そう教えてくれたのは、NPO法人国境なき医師団日本の松本典子さん。
「国境なき医師団」は、1971年にフランスで医師とジャーナリストによって設立された、国際NGO。世界29カ所に事務局を構える民間の団体。
「独立・中立・公平」の立場で、人種や政治、宗教にかかわらず、紛争や自然災害、貧困などによって命の危機に瀕している人びとに医療を届けています。過去にはその活動が評価され、ノーベル平和賞も受賞しています。
■「誰もやらない」からこそ、私たちが行く
国境なき医師団の活動は、世界のあらゆる場所・地域に広がっています。それは、世界では解決されていない、医療に関する問題が起きているということを意味しています。
「通常の交通手段では行くことのできない地域も多くあります。なので、自分たちで航空機をチャーターしたり、船を借りたり。車での移動でも、距離にして40km程度の道のりでも、舗装されていない道なき道や川を越えていくため、5時間かけていかなければならないこともあります」
「他の組織がやらない、またはできないことをやることが、MSFの使命です。他の国際機関の支援対象から外れてしまったり、政府から見過ごされてしまったり。私たちがやらなければ誰からも医療が届かない方たちがいる、その人たちに医療援助を届けることがMSFの仕事です」
■医師や看護師だけでなく、建築士や電気技師。そして現地スタッフと共に活動
国境なき医師団のチームは多様です。診断や手術を行う医師や看護師、医療系のスタッフである薬剤師や助産師はもちろんのこと、仮設の病院を作るための建築士、電気技師なども参加。スタッフの約半数は非医療系のスタッフです。
「とても大切なのが現地で採用されるスタッフたちです。世界中で活動するMSFスタッフのうち約8割は現地採用の地元スタッフで、海外からの派遣スタッフとともにさまざまな職種において大きな役割を果たしています。まさに国境を越えて、さまざまなバックグラウンドをもつ人たちが一つのチームとなって協力し合っているのが、MSFの現場です」
■基礎医療提供のための費用に
今週、チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」では、2週間限定で、国境なき医師団にインスパイアされたオリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。
集まったチャリティーは、国境なき医師団が行う基礎的な医療・診察を行うため道具、医薬品やビニールシート、ガーゼなどを提供するための費用として活用されます。チャリティーの目標は、約8000人分・20万円を集めることを目的として、チャリティーアイテムを販売します。
販売するアイテムには、WITHOUT BORDERS「国境を越えて」という、国境なき医師団の活動を表現する言葉と、『ハチドリのひとしずく』という童話の中で、他の動物が逃げてしまう中、たった一羽で山火事を消そうと懸命に努力するハチドリのイラストを描きました。
チャリティーアイテムの販売期間は、12月25日から1月7日までの2週間。JAMMINホームページから購入できます。
JAMMINの特集ページでは、国境なき医師団メンバーへのインタビューなど、より詳しいインタビューを掲載中。あわせてチェックしてみてくださいね。
世界のあらゆる“医療へのアクセスがない地域”へ、プロのチームで医療を届ける国際NGO「国境なき医師団」
高橋佳吾(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」共同創業者。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。
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