横浜でのGREENROOM FESTIVALや代々木公園のワンラブジャマイカフェスティバル、山梨県のNatural High!など音楽フェスが盛りだくさんだった今週末。

2011年5月21‐22日、本州最北端に位置する青森県大間町では「大MAGROCK」と題する「反核ロックフェス」が開催された。

 

■原発建設予定地に建つログハウス「あさこはうす」

2008年5月27日、電源開発株式会社により建設が着工された大間原子力発電所。その敷地内に「あさこはうす」と呼ばれるログハウスが建っている土地がある。

炉心予定地から約300mにある故熊谷あさ子さんが所有していた未買収の土地だ。

大間原発の話が持ち上がった1976年以来、近隣住民が次々と土地の買収に応じていく中、熊谷あさ子さんだけが自分の土地を手放さず、原発建設を長い間拒み続けてきた。

熊谷あさ子さんが亡くなった今は娘の小笠原厚子さんが遺志を受け継ぎ、その土地を守っている。

 

■1時間半から始まったMAGROCK

2008年、大間原発の建設が着工された年に第1回「MAGROCK」は行われた。

1時間半ほどの時間で行われた自称・世界で最少のロックフェスだったという。

原子力政策に関心を持つ人たちによる手作りのロックフェスはその後、毎年開催され、参加者も少しずつ増えていく。

今年は21日に150人、22日には200人の参加者が集まり、ラビラビ、三宅洋平などがライブを行い、俳優のいしだ 壱成らも参加した。

ライブ会場と、その向こうに見える工事中のクレーン。右端奥に小さく見えるのが「あさこはうす」

大間原発建設予定地で作られている畑。小笠原さんが野菜を育てている。

MAGROCKの名前の由来は「大間マグロ」が有名なことから

 

■3.11以降、明るみに出始めた原発政策をめぐる動向

大間原発で発電する電気は、沖縄電力を除く9つの電力会社に送電する予定だという。

しかし、あさこはうすを守っている小笠原厚子さんにもその具体的な内容は知らされておらず、その建設目的には不透明な点が残っている。

3.11以降、山口県の上関原発建設計画や、青森県の大間原発建設など、今まであまり広く知られていなかった原発建設を巡る実態が徐々に明るみに出てきている。

そこには「MAGROCK」のように福島原発事故以前から細々と人知れず続けられてきた市民の活動がある。

大間原発の建設計画を知っていた人はどれくらいいるのだろうか。

都心で使う電気を、地方に押し付けてきた原子力政策。

その意味を国民全体で考え直さなくてはいけない。

5月12日には、民主党の岡田克也幹事長が大間原発の建設に対して「あと2年くらいで動かすという想定で、かなり出来上がっている。やめることを考えるべきではない」と会見をしている。

(写真、情報提供=大MAGROCKに参加した青木優介氏に協力いただきました。)