街角で「THE BIG ISSUE」と書かれた雑誌を掲げて、路上販売する人の姿を、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。定価350円の雑誌『ビッグイシュー日本版』は、ホームレス状態の人が仕入れ、路上で販売。販売価格の半分以上が彼らの収入になる仕組みの雑誌です。現在、世界35カ国、110誌に広がっています。雑誌『ビッグイシュー日本版』を編集・発行する、有限会社ビッグイシュー日本を母体とする、ホームレス状態の人の生活を支えながら自立を応援するNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)
◼︎ホームレスの人たちの自立を総合的にサポート
「住所を持たないために履歴書の欄が埋められなかったり、お金がない中、仕事に就いても給料が支払われるのが翌月だったり。ホームレスの人は、働きたくても働くことへのハードルが高い」。そう指摘するのは、NPO法人「ビッグイシュー基金」の川上翔(かわかみ・しょう)さん(25)。「ビッグイシュー基金」のスタッフとして、これまでに多くのホームレスの人たちと接してきました。
『ビッグイシュー日本版』を仕入れて、個人で販売するためには、住所や本人を確認するための書類は必要ない。ホームレス状態であれば誰でも販売することができ、さらに1冊350円の雑誌の売上のうち180円をすぐに収入として手にすることができる。
「『ビッグイシュー日本版』の販売はあくまでひとつの選択肢。他に本人にマッチした仕事や支援があるような場合は、そちらを紹介している」と川上さんは話します。
「ビッグイシュー基金」は、『ビッグイシュー日本版』の販売者を含む、ホームレス状態の人たちの就職やアパート入居など、彼らの自立に向けた総合的なサポートをしています。
◼︎途切れてしまった「社会とのつながり」育む場
ホームレス状態になってしまう原因は、失業し、住む家がなくなるなどの「物理的な要因」だけではない。川上さんは、家族や友人などとの「身近な絆」が無くなったことが関係していると指摘します。
身近な絆やつながりを失い「人生に希望がない」と感じているホームレスの人たちに、もう一度、人間関係や社会とのつながりを築いて欲しい。そして「人生が楽しい」と感じてほしい。
そんな思いから、ビッグイシュー基金は、サッカーやダンスなどの当事者によるクラブ活動も積極的に応援しています。
◼︎ホームレスは「人格」でなく「状態」。チャレンジを応援できる社会に
「『ホームレス』という言葉は『家がない』という状態を表すもので、人格を表すものではない。けれど『ホームレス』と定義されたとき、人格まで決めつけられてしまうような風潮がまだまだある」と川上さんは言います。
「『ホームレスだから』と特別に扱うのではなく、同じ一人の人間としてその人と出会い、一度失敗してもまたチャレンジできる、それをみんなで応援できるような社会になっていけば」と、未来への思いを語ってくれました。
◼ホームレスの人たちに必要な情報を届ける冊子配布のためのチャリティキャンペーン
チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、「ビッグイシュー基金」と1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。
集まったチャリティーは、ホームレス状態の人や生活に困っている人に、「食べ物がないときはどこへ行けばいいか」や「病気になったときはどうしたらいいか」、「仕事を探したいときはどうすればいいか」などといった情報をまとめた冊子「路上脱出ガイド」を配布するための費用の一部として使われます。
JAMMINがデザインしたTシャツには「本」の階段が描かれています。「これまでの人生の知恵や知識を生かして新たなステージへと挑戦して欲しい」というビッグイシュー基金の思いを表現しました。
Tシャツ1枚につき700円がビッグイシュー基金へチャリティーされます。販売期間は7月17日~7月23日の1週間、JAMMINホームページから購入できます。
JAMMINの特集ページでは、ビッグイシュー基金の活動の詳細だけでなく、『ビッグイシュー日本版』販売者さんの声も掲載中!デザインとあわせて、チェックしてみてください。
行き場を失い、ホームレスとなった人たちが社会とつながり、再チャレンジできる世の中を目指して〜NPO法人ビッグイシュー基金
山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。
【JAMMIN】
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