大阪・高槻市に精神障がい者のフットサルのクラブがある。それがゴッデス高槻だ。新阿武山病院のデイケア室に事務局を置くWEARE(高槻精神障害者スポーツクラブ)では、バレーボールの練習を週1回患者と一緒にしていた。その経験から、サッカー好きの病院長と看護師が「フットサルは専用シューズがいらず、女性でも気軽に参加できる」と2006年4月に同クラブを発足。
現在、20代半ばから40代まで25名の男女が月1回練習に励んでいる。2007年11月にはWEARE主催でJリーグのガンバ大阪の協力を得て第1回「大阪スカンビオカップ」が開催された。この大会は「精神障がい者の参加する日本初の競技フットサル大会」といわれる(2008年からは毎年ガンバ大阪が主催)。
ガンバ大阪は精神障がい者向けのサッカー教室「Gスカンビオ アカデミア」を開催し、ゴッデス高槻の選手たちはガンバユースのコーチ陣の指導を受け、メキメキと上達しているそうだ。
2011年3月には、totoくじの助成金と個人負担でイタリアに滞在。「ソーシャルサッカー」と呼ばれる当事者6人と医療スタッフ2人の8人制の試合で、準優勝の結果を残した。スカンビオカップでの優勝をめざしているが、障がい者向けの大会だけではなく、一般の大会にも出場した。
WEAREの代表で2011年までゴッデス高槻の監督を務めた看護師の真庭大典氏は言う。
「メンバーの薬の量が減り、回復していく傾向が見られます。おかげで初期メンバーは就労や進学などで地域に復帰していったため、今はほとんどいません。ピッチでは治療者と患者というより仲間という感覚なので、勝って選手たちに胴上げされた時、本当にうれしかったです。人に感謝できる余裕やチーム全体を考える余裕が生まれ、他のメンバーに気遣いもできるようになりました」
まるで映画「人生、ここにあり!」のようだが、スポーツを通じて心の病を治す試みは全国に広がりつつある。(今一生)
●ゴッデス高槻