東日本大震災から1年。被災地では今も復興支援が続けられている。だが、「知識も経験もない自分にはできることがないのでは」と無力感を覚える若者は少なくない。そんな若者にこそ見てほしいドキュメンタリー映画「手のなかの武器」が、2月27日19時から東京・渋谷のUPLINK FACTORYで上映される。
本作の撮影は、2011年4月から岩手県陸前高田市で始められた。延々と続くがれきの山。鳥が巣を作っている廃屋。そんな絶望的な「街」の中でも、土地の人は暮らし続けている。
宮城県の亘理町では、自ら田植えした米であられを作っている青年が「売り上げは落ちているけど、祖父の代から続く家業を継ぎたい。街を復興するには若者が必要」と言う。石巻の牡鹿半島では、避難所へ物資を配給する若者たちが衣料をダンボール箱から黙々と仕分けていた。地元の人は「自分たちだけではため息ばかりで力が入らない。ボランティアは助かります」と語る。
福島県新地町。「若者たちが騒いでも、その元気で働いてもらえれば。同じ目線でなくていい。一緒に落ち込む必要ない。引き上げてほしい」と言う地元の方の言葉が重く響く。
美大の学生たちは自ら下絵を描き、東京・神奈川の小学生低学年の子どもたちに色を塗ってもらい、被災地の同世代の子どもたちにも色を塗ってもらってアニメを一緒に作った。監督は言う。
「復興支援も長期的なニーズへと変化し、新たなアイデアが求められている。既存の支援活動に終始せず、柔軟に自分たちの出来ることから支援が出来るのが、若者の強み。私たちにも出来ることは、きっとあります」
上映会の収益の一部は、復興支援団体への支援金として寄付される。(今一生)
映画「手のなかの武器」公式ホームページ http://tenonakanobuki.com/