1%フォー・ザ・プラネット(以下、1%FTP)は、企業に売上の1%を環境保護活動に寄付するように呼びかけている企業同盟だ。加盟企業は、利益ではなく、売り上げの1%を各企業の希望する加盟NGO に寄付ができる。パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードとブルー・リボン・フライズの創立者のクレイグ・マシューズが2002年に立ち上げた。現在、45カ国、企業1450社、NGO2500団体が加盟している。加盟者の70%を米国企業が占めるが、カナダ、ヨーロッパ、アジアの加盟希望者も増えている。これまでNGO 団体に寄付した総額は一億ドルにのぼる。このほど来日したテリー・ケロッグ代表に話を聞いた。(オルタナS特派員=森本洋子)

テリー・ケロッグ代表(左)とメロディー・グローテ副代表(右)


――創立した2002年から、世界は激動の変化を続けています。2012年に1%FTP で特に力を入れたい事はありますか。

私は、企業の大小に関わらず加盟する事ができ、自分たちが応援したい団体を直接支援できるシステムが素晴らしいと思い、1%FTPに参加することに決めました。

1%FTP の一番の強みは、ネットワークです。個人や、各企業だけで世界の環境問題を解決することは不可能です。しかし、みんなで課題を明確にし、具体的な解決策を考えれば、地球環境問題を解決することは可能です。その為に同じ目標や価値観を持つ企業とNGO 団体のパートナーシップを強化する事が、私たちの使命だと考えています。

さらに日本でも、2012年中に加盟企業を現在の36社から100社に増やしたいと考えています。

――日本人として初めて、フリーアナウンサーでフェアトレードや環境活動に取り組まれている末吉里花さんが1%FTP の大使になりました。大使に期待することはありますか。

環境問題は、限られた人たちの問題ではなく、全ての人に関わる問題です。沢山の人に環境問題の現状を自覚してもらう目的で、「大使」という制度を始めました。企業の社長、アーティスト、運動選手など皆様々の職業を持った人が大使として活躍しています。

メンバーではなくても、影響力があり、沢山の人たちにメッセージを伝えられる人ならば大使になれます。特に私たちは、これからの未来を作る若い世代へメッセージを伝える事を重要視しています。

――ビジネスを通じて社会課題を解決する社会起業家など、若い起業家が今までのビジネスのルールを変えています。これからはそういった会社とのパートナーを結ぶ機会が増えていくだろうと思います。1%FTP の5年後はどうなっていると思いますか。

まさに今、企業のマインドセットの変化が見られ、CSR、サステナビリティなどが重要視されています。5年後は企業からの社会貢献が今まで以上に実現しやすくなってくると思います。1%FTP が消費者、企業、NGO 団体の間の潤滑油となり、問題解決に向かって、もっともっと有効に活動を促進していくことが、私たちの使命です。若い斬新な企業が昔から存在する大きな企業に良い影響と変化をもたらす事を期待しています。

今はビジネスを通じて、住みやすい社会に寄与できるチャンスが沢山あります。私たちもこれからの時代にそった新しい経済を築くために、みなさんと協力していきたいと思います。そして小さな事を一つ一つ大切に積み重ねることを忘れないことが大切だと思います。


テリー・ケロッグ:
ミドルバレーカレッジで経済学学位を取得。イエール大学でMBA、環境マネージメントの修士学位を取得。2000年、ティンバーランド社でステュワードシップディレクターとして、同社のカーボンフットプリントを15%削減した実績がある。水性接着剤の使用を進めグリーンビルディング、オーガニックコットンプログラムを開始した。2005年より、1%フォー・ザ・プラネットで代表を務める。NorthernForestCenter の理事、ClarkGroup,eQuilibrium のアドバイザーも務める。