トヨタ自動車が社会貢献活動の一環として運営する環境学習施設「トヨタの森」(愛知県豊田市)に、23日、10万人目となる来訪者が訪れた。

トヨタの森にて記念式典が開催された


この日訪れたのは豊田市立平井小学校の1年生23人。10万人達成を記念した式典ではトヨタ自動車早川茂常務役員から認定証が手渡され、トヨタの森スタッフ手作りの「森の色鉛筆」や間伐材を利用した木製ベンチが贈られた。また、児童らによりムササビの巣箱が設置された。

トヨタの森は、1997年に豊田市内にある45haの社有林を、里山活性化のための実験フィールドとして整備したことに始まる。雑木林に光と風が入るよう整備を行うとともに、植物や生き物の調査・モニタリングにも取り組んでいる。

1998年から2007年までの10年間、エコモニタリングと称して「森林整備と樹木生長量との関係」「湿地保全と貴重な湿生生物との関係」「特定生物の繁殖調査」を実施した。里山の多様な変化を科学的にモニタリングし、数値化した基礎研究データは、整備方法の見直しや自然観察・指導内容の充実に生かされている。

現在は、再生した里山に実際に触れてもらうための環境教育・学習の場として、主に利用されており、地域の小学生を対象とした自然ふれあい体験学習等を実施している。年々参加者は増えており、2011年は約180回、7000人以上の児童たちを受け入れた。

この日はあいにくの雨だったが、トヨタの森インタープリター(里山案内人)伊吹さんから「雨は森にとって春の訪れを告げるサイン。雨だからこそ観察できるものがある」と伝えられ、児童たちは元気よく森に出かけた。児童たちは「ムササビの気持ちで手を広げ坂道を走って帰ってきた。ジェットコースターみたいで楽しかった」と目を輝かせた。

トヨタ自動車社会貢献推進部の田中均部長は「クルマづくりをはじめ、社会のあらゆる活動は地域や自然環境といった基盤に支えられている。市の面積の7割が森林である豊田市の基盤作りに貢献していきたい」と語った。(オルタナS特派員=池田真隆)


トヨタの森