瀬戸内海に浮かぶ香川県小豆島。人口約3万人のこの島で暮らす「小豆島カメラ」の7人の女性たちがOLYMPUSのカメラを用いて島での生活で出会った人々や美しい景色などを日々発信している。彼女たちは写真を通して何を伝えているのか。「小豆島カメラ」のメンバーである牧浦知子さん、太田有紀さんに話を聞いた。(武蔵大学松本ゼミ支局=岸川 詩野・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)
小豆島カメラは、カメラメーカーのオリンパス、写真雑誌「PHaT PHOTO」、写真家のMOTOKOさんの協力によって2013年10月に結成された。発足から現在まで、オリンパスのカメラを用いた撮影方法のレクチャー会や写真展の開催、島内外の全ての人を対象にした小豆島撮影ツアーを行っているほか、FacebookなどのSNSを用いて島内で撮影した写真をメンバーが毎日投稿している。
今までの活動で印象に残ったエピソードについて、牧浦さんは毎年取材を行っていた島内の種にんじん農家について語った。毎年取材を行っていたが去年はシーズンを逃してしまい取材を行うことができなかった。
今年訪れた際にその男性が体調を崩されたのを知った。そのため、写真を取り続けることへの使命感を感じた。牧浦さんが撮影した写真がきっかけとなり島外に暮らす人と島内に暮らす人の交流を生み出したことも印象に残っているという。
太田さんは、小豆島カメラは「見たい・食べたい・会いたい」をキーワードに写真を撮っているため写真を見た人に行ってみたいと思ってもらえたら良いと語る。
小豆島カメラが行う島内のツアーイベントに関しては、参加者にオリンパスのカメラの貸し出しと使い方をレクチャーした上で「生産者と暮らしに出会う旅」というテーマで食品の工場見学や様々な場所を巡ることにより日帰り体験型のツアーが行われている。
2018年11月現在では7回開催されており島内外からのリピーターも多いという。このツアーに参加したことがきっかけで本格的にカメラを始める人もいるなどカメラユーザーの幅を広げることにも貢献している。
小豆島では現在、高齢化や過疎化が問題になっているという。島内には大学がないため進学を希望する若者は一度本土に行く必要があり本土で就職をする若者も少なくない。そのため、仕事があっても若い層の労働者が少ないのが現状である。
これらの問題に関して、小豆島カメラは島への移住者を対象にしたガイド作成に写真などで協力を行っている。
この活動を続けていく上での問題点やこれからの展望について2人に聞いた。
小豆島カメラの発足から5年が経ち、おめでたいことにメンバーが結婚や出産をしたことでライフスタイルの変化があったという。そのため、これからの活動スタイルは変化するが、都合により一時活動できなくなったとしても「脱退」ではなく「おやすみ」の形をとり、その時に活動ができるメンバーがやりたいことをやることが必要になるだろうと教えてくれた。
このようにその時できるメンバーがやるという形でラフにやっていくことと、行政と直接的な関わりがないことが小豆島カメラの長続きする秘訣なのではないか語った。
最後に、「3歩先の未来を撮る」というMOTOKOさんの言葉を教えてくださった。写真を撮る前に3歩先はこういう感じになったらいいなと明るい気持ちで未来のことを想像することでより良い写真が撮れるということだった。
この取材を通して、小豆島の景色や人物を島で生活する彼女たちが日々発信することで、島内外の人々に小豆島の暮らしをリアルに伝えていると感じた。
そして、お2人との対話から彼女たちは本当に仲が良く小豆島を愛し楽しみながら写真を撮っていることが伝わってきた。
活躍スタイルが変化していってもなお小豆島を取り続ける彼女たちのこれからの活躍に注目していきたい。