一人の人にはさまざまな側面がある。現代社会では、その多様な側面を状況によって使い分けて人とかかわることも多い。それが楽、という人もいるだろうし、それが苦しいと思っている人もいるだろう。自宅はプライベートな場であり、「素」に近い自分でいる場所だからこそ、そこを開くことで「トータルな私」として人とつながりうる。訪れる人も、そんな場だからこそリラックスして自分を開けるのではないかと思う。

東京都あきる野市「少女まんが館」。4万冊の蔵書を誇る自宅ライブラリー


これも、これも、これも自分。いろんな側面でつながれるようになったら、同じ相手とでも、新たな関係性が生まれる。そんなふうに、人とつながり、また新たな人との出会いを引き入れることで、暮らしが豊かに、刺激的になっていく。

また、多種多様なテーマ・スタイルの住み開きがあるという意味では、住み開きという言葉を介して異分野同士、これまでつながらなかった人同士がつながる、というおもしろい現象も起こる。

「ジャンルや世代を壊して、キーワ―ドやタグの違う人同士がリミックスされて、つながってほしいなぁと思ってます。住み開きという言葉を通してつながった人たちがお互い化学反応を起こしていくような状況になってほしい」。

大阪府堺市「雑魚寝館」。自宅の庭にずらっと並ぶ、淡水魚の水槽群は圧巻の風景


最近本も出版され、アサダさんの手を離れて、ますます広がりを見せている住み開き。この動きは誰もがコミュニティのつくり手になれるのだという希望を生んだ。

自宅を無理なく開くことで、あなたにも「僕らの小さな公共」をつくることができるかもしれない。
(オルタナS関西支局特派員=武田緑)


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