緑豊かな山間部にある児童数7人の山形市立双葉小学校(山形市門伝)が3月末で閉校した。児童の減少を受け、666人の卒業生を輩出した同校は56年の幕を閉じた。2012年度からは西山形小(山形市柏倉)に統合される。閉校式には卒業生や元職員ら約300人が集まり、最後の校歌を歌った。
双葉小は、山形市の西側にそびえ立つ富神山の中腹部にある。緑豊かな地域で、学区内ではニホンカモシカやフクロウ、ミズバショウなど四季折々にさまざまな動植物に出合うことができる。
児童数が少ないため、同校では複数学年で1クラスを編成する「複式学級」を導入している。1-2年生、3-4年生、5-6年生で1クラスを編成し、先生が一つの学年に教えている間に、もう一つの学年は自主的に授業を進めていく。毎朝校庭で、夏はマラソン、冬はスキーをするのも習慣だ。
地域とのつながりも深く、毎年恒例の「わらび煮会」では、全校生徒でわらび採りに出かけ、地域住民を招いて一緒に食べる。春と秋の年2回、学区内のキャンプ場や宿泊施設で宿泊活動も行ってきた。そのため、地域住民とのつながりや児童同士の絆は強い。
双葉小は1955年創立。1950年代には180人を超える児童がいたが、近年は児童減少が顕著だった。山形県全体で見ても、1996年以降人口が減少し続けている。現在の人口は約116万人だが、2010年10月から約1年で約1万人が減少した。2011年度は約20校が統廃合したという。
高木祐治校長は、「10人を割ったら、閉校の決断をしようと考えていた」と語る。「双葉小の教育環境は素晴らしい。だが、社会には様々な人や考えがあるということを教師がすべて教えられるわけではない」と、集団組織の中で得る気付きや体験の大切さを説く。
■ 閉校しても地域の拠点に
この春で卒業し、中学校に進む二瓶あかりさん(12)は、小学校入学前に東京から引っ越してきたという。当初は「木がたくさんあって驚いた」というが、「わらび採りやスキーなど東京ではできない体験ができて面白かった」と振り返る。
閉校後の同校の活用方法はまだ決まっていないが、地域おこしの拠点としての可能性が模索されている。
同校では毎週、卒業生や地域住民が集まって、バレーボールの練習会などが開催されているという。同校の卒業生である瀬野桃子さん(28)は、「母校の閉校はとても寂しい。これからも地域の人が集まる場にしていきたい」と期待を込める。(オルタナ編集部=吉田広子)