コミュニティ活動が活発化してきた。仕事終わりや休日に集まり、社会的課題を解決するためにそれぞれの役割を話し合う。この動きの中心はやりたいことが見つからずに、「さとり世代」とも称される20代から30代だ。若者たちはなぜ、コミュニティ活動にやりがいを見出すのか。オックスフォード大学リサーチフェロー(Nissan Institute)& ロンドン大学社会起業学修士課程ダイレクター(Goldsmiths)として、日本の若者のニート問題の研究も行うトゥーッカ・トイボネン氏に聞いた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

日本のコミュニティ活動を語るトイボネン氏

トイボネン氏は若者たちがコミュニティ活動に積極的になる理由を、「活動に居場所を求めているから」と分析した。それは、会社以外に所属場所がないと、とたんに人間関係が希薄化してしまう日本社会の問題点を明らかにしている。

つながりを求めて集まってくるが、それがリスクにもなっているとトイボネン氏は続ける。「本来の目的は、社会変革なのに、コミュニティ活動自体が目的となってしまうケースがある」と。

さらに、閉鎖したコミュニティではインパクトが残せないと指摘する。「変革するためには、コミュニティは緩いほうが良い。なぜなら、変革のために必要なすべてのリソースはそのコミュニティだけで揃うわけがない。色々なところから情報を集めるべき」。

■つながりは、「パッション」で

近年のボランティアや社会貢献への盛り上がりも分析した。「若者たちがボランティアに抱くイメージが従来のそれとは異なってきたから」(トイボネン氏)。利益を生み出しながら、社会的課題を解決するソーシャル・ビジネスを展開する社会起業家が増えていることが背景にあるという。

さらに、もう一つ重要な要因を挙げた。それは、中間支援組織の活性だ。若者とソーシャル・セクターをつなげる団体やイベントが増えたことで、選択肢が広がった。若者当人のモチベーションもあるが、種類の豊富な中間支援の存在が後押ししているのだ。

トイボネン氏は、若者たちへつながりを求めるのなら「パッション」でつながってほしいとメッセージを送る。組織名や肩書きで判断するのではなく、その人のミッションや志を聞いて、コミュニケーションをとってほしいと言う。「パッションで集まったコミュニティで企画を考え出すと、変革のアイデアが生まれやすい」と話す。

トゥーッカ・トイボネン:
オックスフォード大学リサーチフェロー(Nissan Institute)& ロンドン大学社会起業学修士課程ダイレクター(Goldsmiths)。オックスフォード大学を拠点にしながら若者、仕事、そしてモチベーションというテーマを中心に研究。 博士論文では日本の「若者自立支援政策」の誕生と実行を分析している。2011年度国際交流基金日本研究フェロー。

3.11大震災後の日本の若者:敗者から変革の担い手へ? トゥーッカ・トイボネン
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@tuukkatoivonen (日本語ツイート) @Tuukka_T (英語ツイート)
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