「若者」
これは、Facebook、Google、Yahooに代表される多くのIT企業の創業者に共通するキーワードである。
時代を代表する多くのwebサービスは、学生ないし20代の若者が生み出してきた。
このような傾向の中、日本でもピスチャー株式会社が提供している、IT教育プログラムの「Life is Tech!(ライフ イズ テック)」という企画が話題を呼んでいる。
その取組のひとつとして、中高生を対象にITキャンプを大学と組んで提供するといったものがある。
これは、東京大学や慶応大学(SFC)、デジタルハリウッド大学、九州大学などの大学と協力し、3〜5日でデザインやプログラミングといった最先端のテクノロジーを学ぶキャンプである。
キャンプは、基本的に生徒5人に大学生1人がついて教える形を採っている。
ピスチャー株式会社の代表取締役である水野雄介(みずの ゆうすけ)氏は、この取組をはじめるきっかけをこう語る。
「慶応大学大学院に通っていた時代に、ある高校で教師として勤めていました。その時、結構PCやゲームを作りたいという生徒がいたのですが、そのような子供達はオタクという目で見られがちで、日常的に褒めてもらえる機会が少ない。中々、かっこいいとも思ってもらえないのです。その好きって気持ちを、もっと伸ばしてあげたいと思ったことがきっかけ。」
水野氏は、海外で成功した事例としてキッザニアに着目し、テクノロジー界のキッザニアをつくることが目標だという。
「好きなもの(ゲームやアプリ)の消費者から生産者に変わる体験を提供する。
スキルを学ぶだけなら本でもできるので、リアルであることの価値を大切にしたい。
だから大学という非日常の場でやろうと思いました。」
2011年の5月に始まったキャンプは、
主に夏と冬の2回開催。
夏に一週間のキャンプを5回ほど実施したのだという。
また、今年の春は3回実施し、講演にはiモードの生みの親、夏野剛(なつの たけし)氏も登場した。
「今後10年で、全国で20万人の子供達にものをつくる経験を提供し、ものづくりはかっこいいという価値観を広めたい。
アプリなどのものづくりは、音楽と同じで、自分を表現する手段です。全国の中高生が切磋琢磨できる環境を整えていきたいです。
また、そのために必要なのは、大学受験と、新卒制度の仕組みが変わることで、
高校生の頃から企業にスカウトされるような人材がたくさん出てくることや、大学がその子の学費を負担するようになれば、世間の価値観が大きく変わる!」
と意気込みを語ってくれた。
筆者も、テクノロジーを通じたものづくりの場を、子供たちに提供するピスチャー株式会社の挑戦に期待している。(オルタナS特派員=内藤聡)