(オルタナS富山支局員 足立原久仁子)

世界文化遺産・五箇山合掌集落にほど近い、富山県南砺市利賀村。

その村の山の上にぽっかりと浮かぶような上畠地区で、8月19日(金)、20日(土)、21日(日)の3日間、アートイベント「上畠アート2011」が開催される。

住民、アーティストと共に、このアート展を創り上げるのが、東京在住の若者たちだ。


上畠アート2010にて

上畠地区は、戸数わずか15戸ほどの限界集落の一つ。高齢者ばかりになった集落を盛り上げようと、2007年から毎年8月に「上畠アート」が実施されている。

集落全体をまるごとアート会場にしたイベントは、他の地域でも行われているが、都市の若者たちがその運営に関わる例は、全国的に

も珍しいのではないだろうか。


彼ら「わら路プロジェクト」のメンバーがこのイベントに関わることになったのは、昨年のこと。全国各地で地域のお祭りに参加し、感じたことを詩や演劇にして発表するという活動を行う中で利賀を訪れ、当時上畠区長で利賀ふるさと財団理事長を務める中谷信一さんと出会った。

中谷さんから、「アート展をやっているが、村の年寄りだけでは続けるのが難しい」という話を聞き、「それなら、僕たちがお手伝いしますから、一緒にやりましょう!」と、彼らと住民とアーティストたちの三者で創る「上畠アート」が始まった。

昨年のアート展を無事に終え、「わら路プロジェクト」のメンバーたちは充実感でいっぱいになった。秋にも、冬にも、利賀村に通った。

そして、今春。

ただアート展を開催するだけでなく、自分たちの行ってきた活動を目標に自発的なワークショップをやろうと、「利賀ゼミ」が開講された。

5月、春祭りに参加 

「利賀ゼミ」では、4月から8月のアート展まで、毎月、利賀村に通う。山歩きをし、村の自然を感じ、春祭りや草刈りなど地域の行事に参加し、村の人々と交流を深める。

その中で、それぞれの生きる力や感性を磨いていき、それらを活かしてアート展を創り上げる。

 

6月、アーティストたちと下見

これまで、4月5月のゴールデンウィーク期間と、6月上旬、7月上旬に、3回のツアーを行った。残るは8月6日(土)、7日(日)の準備の回のみで、その2週間後に、3日間のアート展本番を迎える。

「最近の若い人は、社会貢献や地域活性など、テーマを掲げて行動したがる傾向がありますが、自分が活動に関わる意味を見つけられずに、続かない人も多いようです。

でも利賀ゼミに参加する人は、自分で楽しみを見つけています。楽しいから村に通い、村に通うことで、その地域の助けにもなる。お互いにとって、プラスになっているのです。地域を活性してあげようという思いではなく、都市で生活する自分の生きる力を伸ばしたいというような思いで参加してもらえたらうれしいですね。まずはあれこれ考えずに、とにかく一緒に楽しみましょう!」と、ゼミ長、伊藤悠さん(28)からのメッセージ。

アート展当日お客さんとして遊びに行くもよし、運営スタッフとして準備段階から「利賀ゼミ」の仲間と楽しく創り上げるもよし。この夏、富山の「天空の集落」を、訪れてみては?

(写真提供:利賀ゼミ)

・利賀ゼミHP  http://togazemi.jimdo.com/

・上畠アート公式サイト http://uwabatake.exblog.jp/