龍谷大学国際学部(2015年度開設予定)がシリーズで開催している国際学部「多文化共生トークセッション」。龍谷ミュージアム(京都市下京区)で10月31日に開催された第3回は、ゲストに羽衣国際大学准教授であるにしゃんた氏を招き「ブランドとしての京都と多文化共生コミュニティ」について、龍谷大学国際学部国際文化学科に就任予定の教授らと語り合った。(オルタナS関西支局特派員=近藤浩己)

2015年4月に開設する龍谷大学国際学部に就任予定の教授陣とにしゃんた氏(写真右から2番目)

2015年4月に開設する龍谷大学国際学部国際文化学科に就任予定の教授陣とにしゃんた氏(写真右から2番目)

■観光地として一流、居住地として三流の京都

京都は794年から1000年以上、日本の首都であり続けた街。全国から人や物が集まり文化が花開いた歴史がある。しかし、しきたりが多く排他的な側面を持つため、外部の人がとけ込みにくいとも言われている。

にしゃんた氏はまず、「観光地としての京都は一流。しかし住民として暮らす京都は三流」と、ブランドとしての京都に苦言を呈した。

その理由として「留学生として滞在していたときは、みなさんとても優しく接してくれた。京都は外国人も学生も歓迎する街。しかしそれはいずれ出ていくことが前提の優しさだった」と言及。住民として暮らし始めると、冷たくなっていく人もいたと振り返った。

国際学部国際文化学科に就任予定の松居竜五教授も、「京都はそのブランド力にあぐらをかいている。私も京都出身だが、生活者から見たこの都市には疑問を感じる」と、共感。「外国や地方など、外からの力を受け入れる気持ちを持たなければブランド力を維持できない」と続けた。

一方、同科に就任予定のカルロス・マリア・レイナルース教授は、同じく古都と呼ばれる奈良の学生を例に挙げて発言。「奈良の学生には観光地としての奈良を盛り上げたいという熱意がある。しかし、同じ観光地として京都を参考にしようとしても、京都では新たな取り組みが見つけられない」と話し、危機感を感じるべき段階にあると述べた。
 

落語や空手など日本文化に精通するにしゃんた氏は、「日本人は自国の文化を大切にしてほしい」と呼びかけた

落語や空手など日本文化に精通するにしゃんた氏は、「日本人は自国の文化を大切にしてほしい」と呼びかけた

■「ほったらかし」が共生ではない

これからの京都に期待すること——。これについて国際文化学部の北條英明教務課長は、道が狭く、交通機関が複雑な京都ならではの対策を提案。

「移動の不便さも京都らしさ。案内板の英語表記など、インフラ整備をするのも大事だが、困っている外国人を地域の人がサポートできればいい」と話し、「また行きたいと思う印象的な街になるには、そうした人を増やさなければならない」と述べた。

にしゃんた氏は、京都だけではなく、日本の素晴らしい文化を知ってもらうことが重要と発言。「日本には世界に誇れる文化がある。年賀状やお歳暮を欠かさず贈ったり、見えなくなるまで人を見送ったり。素晴らしい文化」と讃えた。

しかし、この文化を理解してもらうためには「違い」を認めることが大切だと提唱。「ほったらかしが共生じゃない。国や性別、顔に至るまで我々には違いしかない。その違いを認め、わかり合う努力をしないと、異文化を理解するのは難しい」と話し、皆が共に楽しみ、学び、笑う景色を作ることが共生であり、人と人の正しい付き合い方だと力を込めた。

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