東日本大震災の直後、『マルクスガール』のマンガ家・山本夜羽音さんが中心となり、「おたぱっくQB(救援便)準備会」(東京・杉並)が結成された。ネット上からマンガなどの寄付を呼びかけては被災地の子どもたちに贈り、被災地に赴いては似顔絵を描く活動を続けてきた。

マンガ教室を通して子どもたちの心のケアを目指す


「昨年までに10回被災地に入り、寄贈したマンガ・ゲーム・アニメDVD・おもちゃ・絵本などは数十万点、総重量10トン超」という。今年からは「子どもたちの心のケアになってほしい」と、「マンガ家が教える本気のマンガ術!」と題したマンガ教室を始めた。

テストケースとして、1月21、22日に宮城県石巻市の4カ所で開催。2月4日には福島県いわき市のイオンいわき店「こどものあそびば」、翌5日には南相馬市の野馬追通り銘醸館「ゆうの風」で実施。『B型H系』で人気のマンガ家・さんりようこさんや新進気鋭イラストレーター・鳴海テヨナさんも参加した。

4月1日には、カリタスジャパン石巻ベースで2回目のマンガ教室を開催。主に中高生の参加者20人以上が、山本さんとアニメーター・イラストレーターの横田守さんの指導を受けた。

翌2日も福島市の児童養護施設アイリス学園を訪問した。

「震災や原発事故によって多くの怒りや悲しみがある中で、一回でもニコッと笑ってもらえることがうれしい。マンガ家は、マンガが印刷された後で評価されるため、読者の反応がつかみにくい。今回子どもの目の前で絵を描いてみて本当に喜ばれた。僕は涙が出るくらい救われた。復興支援はわがことのように喜んだり、悲しんだりすることからしか始まらない。次回のマンガ教室は5月中旬から6月上旬の予定。参加してくれるマンガ家を募集中です」(山本夜羽音さん)

被災地では、復興を進めたくてもボランティアの数が激減している。「おたぱっくQB準備会」でも、被災地に画材などを運ぶドライバーや活動報告をウェブサイトで執筆してくれる人材、そして活動を継続させる資金もなく、困っている。せめて彼らのブログを読んでみてほしい。(今一生


●おたぱっくQB(救援便)
http://blog.livedoor.jp/otapackqb/