本書では、社会起業家のインタビューやエシカル消費の事例、最新の調査データを織り交ぜながら、「エシカル(倫理的)とは何か」をひも解いていく。トヨタ自動車グループの資本が入ったマーケティング会社デルフィス(東京・千代田)の社内チーム「デルフィス エシカル・プロジェクト」が、約3年間をかけてエシカル有識者や社会起業家など100人弱に取材し、執筆した。

エシカルを理解したい人に最適の一冊


エシカルとは「倫理的」という意味で、一般的には企業が環境や社会に配慮している様子を指す。本書では、エシカルを「明日を共創するアプローチ」と定義する。

経営学者のC.Kプラハード教授の言葉を引用して、「顧客の声を聞いてそれを生かす企業主体の考え方から、顧客と一緒に新たな価値を生み出す考え方にシフトしなければ生き残れない」と説く。

ソーシャルメディアの発達によって、企業と顧客(生活者)の関係はより近くなった。生活者は、企業が社会にいかに貢献しているかに関心を持ち、共感を抱くようになる。実際に、寄付つき商品や環境配慮型の製品など「エシカル消費」が進んでいる。

本書では、エシカルファッションの第一人者であるファッションジャーナリストの生駒芳子氏、環境や人に配慮したエシカルジュエリーの制作を行うHASUNA代表の白木夏子氏などのインタビューも掲載されている。

デルフィス エシカル・プロジェクトリーダーの細田琢さんは「社会貢献思考を持つ若者は多く、世の中をビジネスで変えてきたいという人が増えている。そのような方にもこの本を参考にしてほしい」と話す。

豊富な事例とマーケティング会社ならではの分析力で、「エシカル」について学ぶには必読の一冊だ。(オルタナS副編集長=池田真隆)



『まだ“エシカル”を知らないあなたへ――日本の11%しか知らない大事な言葉』(デルフィス エシカル・プロジェクト編著/産業能率大学出版部)(税込1575円)



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