茂木健一郎さんや乙武洋匡さんなど多くの識者が協力した朝日新聞の連載企画「いじめと君」のシリーズで、最後を飾ったのは小学6年生の春名風花さん(11)という女の子だった。

いじめは、いじめをする子に想像力を持ってもらうしか止められないとする春名さん。(朝日新聞デジタル版から)


「いじめと君」は、いじめによる自殺・事件が目立つ中、識者によるメッセージを集めた特集企画である。2006年に開始された企画が、大津市の中学校で起きたいじめ自殺事件がきっかけとなり、7月から再び始まっていた。

春名さんは子役や声優で活躍するタレントである。朝日新聞デジタル版に掲載された春名さんの記事はツイート数とフェイスブックの「おすすめ」数が合計で1000近くとなり、掲載されている30人の識者たちの中では最も多い。

春名さんの記事には、「いじめの本質を鋭く突いている」、「小学生とは思えないほどの頭の良さ」という反応が寄せられている。





「いじめがばれた時、いじめっ子が口をそろえて「じぶんはいじめてない」って言うのは、大人が言う保身(ほしん)のためだけじゃなく、その子の正直な気持ちじゃないかなと思います。

ただ遊んでいるだけなんだよね。自分より弱いおもちゃで。相手を人間だと思ってたら、いじめなんてできないよね。感情のおもむくままに、醜悪(しゅうあく)なゲームで遊んでいるんだもんね。

ぼくは、ぼくがいくら泣こうが、本当に自殺しようが、その人たちが何も感じないことを知っている。いじめられた子が苦しんで、泣いて、死んでも、いじめた子は変わらず明日も笑ってご飯を食べる。いじめは、いじめた人には「どうでもいいこと」なんです。(朝日新聞デジタル <いじめている君へ> 春名風化さん から一部抜粋)


小学生とは思えない文章に読者からは、「春名さんではなくゴーストライターが書いたのではないか」といったコメントも寄せられていた。

春名さんが所属する芸能事務所スマイルモンキー(東京・目黒)は、「この文章は春名さんが書いたものである。通常は朝日新聞の担当者が校正してから掲載するが、ほぼ原文のまま掲載させてもらった。春名さんがよく使う女の子なのに『ぼく』と呼ぶ言い方も特別に許可してもらった」と話す。

春名さんの鋭い視点はマンガから得たという。「自宅にはマンガが1000冊ほどある。なかでも『ひぐらしのなく頃に』や『ガラスの仮面』などがお気に入り」と事務所は話す。

また、9歳から開始したツイッターも、当時、春名さんだけ事務所から認められていた。「まだ子どもなので何を書くか把握できないため、子役事務所として本来なら中止させるべきだった。けれど、春名さんのツイートを見た時に、非常に面白いことを書いていたので、仕事関係の守秘義務さえ守れば良いとして許可した」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)


春名風花さんの文章