6月4日にトヨタ府中スポーツセンターでホームレスワールドカップ日本代表「野武士JAPAN」選考会を兼ねたフットサル大会が行われた。当日は企業などのチームも含め12チーム、100人以上が参加した。
今回の選考会は今年8月にパリで開かれるホームレスワールドカップに向けたもの。東京、大阪から計16名のホームレスの人が参加し、8名が選抜される。
選考は主催団体ビッグイシュー事務局のスタッフ、フットサルを指導しているコーチ及び実行委員が行う。しかし、選考基準は通常の競技とは少し異なっている。
選考基準は以下の3つ。
一つ目は「サッカー技術の向上」。サッカーの巧拙ではなく、練習を始めてからどれだけ技術的な進化があったか。
二つ目は「チームワーク」。日常の生活態度なども含め、仲間との協調度を見る。
そして最後が「自立への真摯な努力」。ホームレスから脱するためにどのような努力を行ってきたかを評価する。
この三点を各々が総合的に評価し、最終的には野武士ジャパン実行委員、野武士ジャパン事務局、コーチの総合判断で決定する。
実行委員で作家の星野智幸さんは「選考するこちらも非常に辛い。単純にサッカーが上手いから代表にするわけではない。選手たちがみな大変な努力をしてきていることを自分がよく知っている。それでもやはり勝つ喜びも味合わせてあげたい。そこのバランスが難しい。」という。
一方、自らも代表候補である東京チームキャプテンの松田良一さんも「今まで練習試合で何度となく負けたが、負けることで自分たちの欠点がみえてきた。それは技術的にも精神的にも。そして成長することができた。だからみんな当然パリに行くつもりでいる。」と強い意気込みが感じられる。
前回外資系企業と練習試合を行った東京チーム。1ヶ月も経たない今回の試合における彼らの動きは格段に良くなっていたと筆者自身も強く感じた。一人一人が回りの動きに気を使いながら上手く立ち回り、ボールのキープ力も向上していた。
コーチの蛭間芳樹さんは言う。「レベルは着実に上がってきている。僕たちは選手の普段の生活までは知らないので、サッカーのプレイを評価するがそれでもみんなの努力を見ていると本当は全員をパリへ行かせてあげたい。」
ホームレスワールドカップはただのスポーツイベントではない。選手ひとりひとりが成長することが何よりも大切なのだ。選考スタッフたちの声から感じられるのは、選手たちはみな間違いなくそうした目的を達成しつつあるのだということ。だからこそ差をつけることが難しいのである。
野武士JAPANのメンバーは6月7日に発表される予定。
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