10代による、10代のためのウェブメディア「青春基地」が11月末、リリースされた。同メディアでは高校生たちが記事の企画・作成に携わる。立ち上げたのは慶応義塾大学SFC3年の石黒和己さん。「発信を通して、高校生たちの挑戦意欲を伸ばしていきたい」と話す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
青春基地は、読者参加型のウェブメディア。10代向けに記事を配信しているが、特徴的なのは書き手も10代なところ。編集部には高校生が30人ほどおり、大学生のサポートを受けながら、企画を考え、取材を行う。高校生が考えた企画をより広く世の中に発信していくため、アドバイザーとして、文部科学大臣補佐官の鈴木寛さんや市民ニュースサイト「8bitNews」代表の堀潤さんらがいる。
コンテンツは5つ。高校生たちが会いたい人にインタビューしにいく企画や、若者向けイベントや気になる学校・職場を取材する企画、そして、「10代の主張」という高校生によるオピニオン企画がある。
同メディアを立ち上げたのは、慶応義塾大学SFC3年の石黒さん。石黒さんは、「高校生たちの挑戦意欲を促していきたい」と意気込む。石黒さんは、名古屋で生まれ、中学からは神奈川にあるシュタイナー学園に入学した。同学園は全日制で、1学年に1クラスだけという少人数制を取り入れている。生徒一人ひとりの自主性を育むことに重きを置いている。
石黒さんの学年は7人で、自由な時間が多くあったことで、学外での活動を精力的に行うようになる。高校1年で国際協力団体をつくり、高校3年のときには、若者と政治を近づける団体「僕らの一歩が日本を変える。」を仲間たちと立ち上げた。
大学に入ってからは、NPO法人カタリバにかかわり、文京区から委託を受けて高校生向けの教育支援を行った。高校生向けの教育支援を通して、10代の若者たちが動きながら学んでいく姿に感銘を受けていった。「高校生の伸びしろに、経済的な豊かさや学歴は関係ない。本人が何かを成し遂げたいという意欲が強いほど、成長していくと確信した」(石黒さん)。
石黒さんは挑戦していく高校生を増やしていきたいと思い、「青春基地」の構想を考えるようになる。同メディアを立ち上げるために、エンジニアや運営メンバーを集め、今年11月22日にリリースした。ローンチイベントには、鈴木寛さん、カタリバの今村亮さんがゲストとして登壇し、トークイベントを行った。
石黒さんは、かかわってくれている高校生たちにこう伝える。「社会から出発して考えるのではなく、自分自身から出発すること」。自分と向き合い、考えていくことで、自然と社会のことに関心を持つからだ。
内閣府による、平成26年度版「子ども・若者白書」では、日本の若者は他国と比べると自己肯定感が低いことが分かった。同調査で、「自分自身に満足している」と回答したのは、米国86.0%、イギリス83.1%、韓国71.5%に対して、日本は45.8%だった。
日本には、出る杭は打たれるということわざがあるように、無意識に空気を読みすぎて周りに合わせてしまう習慣がある。この空気感に一石を投じたいと石黒さんは力を込める。「一人ひとりが可能性を持っていることに気付いてほしい。メディアづくりを通して、高校生たちの挑戦意欲を大切にしていきたい。実際に行動をして、やりきることで、見えてくることがある」。
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