学費支援専門のクラウドファンディング「study gift(スタディギフト)」が5月17日リリースした。

同サイトは学校に行きたくても奨学金の利息が問題で通えないなどの学生を対象にしている。学生は「将来の夢」や「大学で学びたいこと」を提示する。それに共感した人が支援者となり少額から学費を支援する仕組みである。

インターネットの力で経済的な理由で学校に通えない学生を救う


支援された学生は毎月、複数回の授業レポートを作成して支援者に報告する。年に数回、支援者との交流会も開催する予定である。

学生は支援者に返済する必要はない。既存のクラウドファンディングサービスとは違い、集められた額は目標金額に達しなくても受け取ることができる。また、目標金額の25%は学生がアルバイトなどで集めることが義務づけられている。

制作を担当したのは去年、影響力の高いブロガーに与えられるアルファブロガー賞を受賞したヨシナガ氏。作成したきっかけは、ヨシナガ氏の大学の後輩である早稲田大学に通っていた坂口綾優さんが奨学金の利息問題や学費が払えず通えなくなってしまったこと。

現在、正社員の職を得られず、奨学金の返済に苦しんでいる若者は増加している。返すべき奨学金が500万円を超すケースもある。日本学生支援機構によると平成21年度中に返還すべき額3983億円に対して797億円が未返還であり、延滞人数は約34万人である。

今年3月には日本学生支援機構の奨学金制度で返済滞納者の個人信用情報機関への登録が1万件を超えた。滞納者への返済を強化する一環として2010年度より行われていることだが、金融機関に情報が提供されるために「ブラックリスト化」とも呼ばれている。

一度登録されると、返済し終えても5年間残り、クレジットカードや住宅ローンなどの利用が制限されることがある。

個人信用情報機関への登録は滞納を3ヶ月以上続けた人に行われる措置であるが、年収が税込み300万円以下で一定の要件を満たせば返済猶予を受ける可能性もある。

だが、この猶予制度の認知度は平成21年度の調査では全体の半数を下回っている。認知度向上の為には、学生本人の自覚と機構の広報の努力が課題とされる。

ヨシナガ氏は「今の子どもは学校の成績では測れない子がたくさんいる。何かに一生懸命打ち込んでいる子が学校に通いながらその能力を高められるように支援していきたい。学費に困っている若者を一人でも多く救えればと思う」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)


study gift