日本では17歳以下の子どもの6人に1人が貧困状態にある。2010年の厚生労働省発表のデータによると、日本の子どもの相対的貧困率は15.7%であった。30人学級だと5人が貧困に苦しんでいる状況になる。
無料で子どもたちの学習支援を行う全国学習会ネットワークJLSN代表の犬飼公一さん(25)は子どもの貧困の定義を、子どもが経済的困難と社会生活に必要なものの欠乏状態におかれ、発達の諸段階における様々な機会が奪われた結果、人生全体に影響を与えるほどの不利を負っていることとする。
保険料を払えないために、病院に行けない無保険の子どもは2008年に3万人を越した。給食費未納額は20億円に上がり、修学旅行に行けない子どももいる。
子どもの貧困は特に母子家庭に多い。大阪府堺市では子どもの貧困の66%が母子家庭である。仕事のため帰宅するのが深夜になり、子どもとのコミュニケーションが取れなく、子どもの教育に悪影響を及ぼしてしまうケースが多い。
親の収入が少ないことで十分な教育が受けられず、進学や就職に不利となる。そのため、不安定で低所得な収入を受けてその子ども世代も貧困に陥る「貧困の負の連鎖」といわれる現象も起きる。
国の教育機関に対する公財政支出の割合も低い。GDPの割合では3.1%で2008年度には、OECD加盟国28カ国中、最下位であった。
犬飼さんは子どもの貧困の問題点を、「見ようとしなければ見えない貧困」であるという。「声を持たない子どもの貧困は、こちらからアプローチしていかなければ、現状を把握することができません。対策も非常に難しく、金銭的援助を子どもに直接与えるということもできません。現状として、この問題を解決していくためには、子どもたち一人一人に寄り添った支援が求められているのです」と課題解決への難しさを話す。
犬飼さんは、教育から貧困の連鎖を絶ちたいとの思いで子どもたちの学習支援をするボランティア団体のネットワークJLSNを立ち上げた。現在では約10弱の団体が加盟している。
2011年度より、子どもの貧困撲滅のシンボルマークとして「虹色リボン運動」を始めた。滋賀県発のローカルな運動として広げていく。虹色リボンのシールを滋賀県の大学生約35000人に所持してもらい、語り部として虐待や離婚が原因で起きる子どもの貧困問題の現状を拡散してもらう。
虹色リボンで、子どもの貧困の現状を知ってもらい、貧困対策事業に対する支援につなげる予定である。犬飼さんは「社会全体で捉えなければいけない問題の一つである。子どもは自らの口ではなかなか話さない。なので、大人から積極的にアプローチして子どもの貧困を見つけないといけない。大人が子どもの貧困から目をそらしてはいっこうに解決しない。社会全体で協力し合ってこの問題を解決していきたい」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)